5S-KAIZEN-TQM 病院経営変革

 

この本の1章を分担執筆した。日本医科大学の長谷川敏彦先生とスリランカのカランダコタ先生の責任編集の本。日本語、英語同時出版。いずれ、フランス語にも翻訳される予定。

さて、5S-改善運動-TQM(Total Quality Management)は製造業を超えてヘルスサービスにも普及している。

5S-改善運動は日本国内のヘルスサービスのみならず、アジアやアフリカでも普及しつつある。

なぜか?そして、この手法はなにを変えているのか?そしてさらに普及してゆくためのカンドコロはなにか?

こんな疑問を持って、2011-12年にかけてスリランカやコンゴ民主共和国を訪れ、当地の保健医療行政担当者や医療従事者の方々とディスカッションをしたり、実地導入指導をしてきた。

ポイントは:

・5S-改善運動-TQMは、ある種のソフトシステムメソドロジーである。つまり医療サービスという人間の諸活動に潜む悪構造問題にたいして、最満足な答えをチームで試行錯誤しながらソリューションを見出し、実行して、成果を評価してゆく運動。

・モノは、人にとって最も見えやすいアイディアが凝縮された存在。改善活動の対象は、モノからプロセスへ、そしてサービスそのものというように変化、進化してゆく。

・5S-改善運動の成果はハッキリ人間の五感に訴えるものだ。だからモチベーションが刺激される。

・モチベーションといっても、それはどちらかというと内発的動機づけであり、金銭や地位などの外発的動機づけではない。達成感、充実感、自己効力感、そして一貫性感覚といったものをチームに醸成することとなる。

・チーム、コミュニティで5S-改善運動をじょうずに展開するとき、ボトムアップ的に信頼関係や絆を、その場の中で涵養することに直結する。そして5S-改善運動に取り組むいろいろな場が、community of practiceやcommunity of learningに変容・進化してゆく。

・このような自己組織的な変容は、西洋(特にアングロサクソンや米国)由来の過剰に個を重視し、かつ個の業績にフォーカスするmeritocracy(実力主義)ではなかなか実現できない。

・5S-改善運動で運用されるPDCAは、個人業績重視のそれではなく、チームアプローチによる関係性重視のPDCAである。

・5S-改善運動はリーダーシップやチェンジエージェントを職場の中で育成してゆく仕掛けにもなる。

・5S-改善運動は医療安全、労働環境向上、医療サービスの質保障・向上のための基礎体力づくりとなる。

など、など・・・。

 

 

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