医療サービスの価値共創(value co-creation)の時代来る!?

カテゴリー : 医療サービスイノベーション

11/2-3は日本医療マネジメント学会の医療安全分科会の価値共創集中ワークショップに参加。このイベントをデザインしてファシリテートし、かつ講演やパネルをこなすという役割での参加だ。コトは同時並行的で、「病院」という専門雑誌に論者がリレー寄稿しながら、それらのコンテンツを「紙」の上のみならず、論者が講演や実演を提供して学会の「場」でも共有してイシューやソリューションをコ・クリエートしましょ!というものだ。

学会3.0!?

そんなフローのなかで、一日目は「ニューマネジメント思考からみた医療安全」という講演をやり、二日目はグループワークのファシリテーションと総括パネル。二日をとおしての共通テーマは、医療サービスの価値共創(value co-creation)という視点から医療安全をとらえるというもの。

二日間の内容をまとめて本にするという話もあるので、忘れないうちに、気になったトコロをまとめてみよう。

結論から言うと、ちょい大げさだが、新しい医療経営にシフトしてゆく時に医療機関などが注入してゆくべき経営哲学、経営方法論、そして手法の一端が明らかになったように思える。

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医療サービスの根っ子は、患者と医師のヤリトリ。法的には、これ診療契約説(民法656条の準委任契約)という枠組みで議論されることが多かった。でも、医療事故の判例をつぶさに読み込んでゆくと、患者と医師の実態は、通説の契約的医師患者関係というよりは、むしろ、信認関係(fiduciary relation)である。ここをサポートする思想は、双方向的価値共創的思想である。(医師で弁護士の大磯義一郎さん)

なるほど!結果と価値の配分に力点を置けば、交換(exchange)となる。しかし、結果ではなくプロセスに、そして価値配分ではなく価値の創造に力点を置けば、おのずと関係性(relation)が立ち現れ、医師患者関係は、信認関係を基盤とする双方向的価値共創的思想で括れる。契約至上主義、訴訟大国のアメリカの医療サービスは、じつは法的には、診療契約説でなく信認関係説に依拠している。

これらは、目からウロコですね。

さらに、医療チームと患者、医療チーム内部では、価値共創をプロセスとコミュニケーションを介して実現してゆくことが求められる。オペレーショナルな実行形式としては、コーチング(詳細の方法論は工学部出身の眼科医、小野真史さんが提供した)などが有効となるのだ。

いままでの経営学は、産業社会の中で、多くの付加価値を出してきた企業モデル中心に組み立てられてきた。医療経営も、多くの場合それを参照してきたのだが、どうしてもシックリせず。

保健・医療・福祉サービスが乗っている公共圏の制度は競争原理ではなく、危うい共生原理によってフラフラしながら運営されている。でも、公共圏の共生原理が危うくても、臨床現場の医療サービスは危うくてはいけない。

医療の質、安全、そして価値が担保される経営とは、どうあるべきなのか?

医療はモノづくりではなくサービスつくり、モノコトづくりだ。

医療サービスを含むサービスの特質は関係性のなかで育まれるということ、つまり:

•共創性(Co-creation):サービスは顧客と提供者との関係性のなかで共創される。

•共進性(Co-evolution):サービスは顧客と提供者の相互作用で進化する。

•共時性(Synchronisity):サービスは顧客と提供者の間で共起する。

•互恵性(Reciprocity):サービスは互恵関係の中で生まれる。

 

そして関係性に注目すると、従来の安全アプローチとはまったく異なるソリューションが見えてくる。

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苛烈な市場競争に置かれている製造業などのサービス化現象は、「競争原理-価値共創」というロジックで説明でいけるだろうが、保健・医療・福祉は、「共生原理-価値共創」といった異なるロジックが必要だ。そのうえで、うえに書いたような保健医療福祉サービスの性格を押さえたソリューションを提供できればすばらしい。

ワークショップでは、東京厚生年金病院の医療安全管理者の松浦真理子さんと安房地域医療センター医療安全管理者の古田康之さんがファシリテートして現場の問題、悩み、やりがいをまとめたあと、問題解決のためのアイディア、ソリューションの見える化と共有化をおこなった。

悪構造問題や暗黙知になってしまっているモノコトをワイガヤ(ムツカシクいうとソフトシステムズメソッド)によって、表出して一気に共有し、ソリューションにまでしてしまうのは本当に楽しいものだ。

ニューマネジメントはカラフルだ。たぶんこんな方向性だろう。

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