村口和孝氏X藤野英人氏による刺激満載の講演&パネル

カテゴリー : アントレプレナーシップ

大学のシンポで、村口和孝さんと藤野英人さんによる面白い講演&パネルが開かれた。言わずと知れたベンチャー投資家、ファンド運用者として大成功を収めているお二人だ。

実は前職の東京農工大学技術経営研究科でアントレプレナーシップの講座を持っていた時、ぜひ教室に呼んでトークしてほしかったが、かなわなかったお二人。これもなにかのご縁だ。忘れないうちにメモしておこう。

村口和孝さん 

・これからは未来を積極的に実現してゆこうという「能動的人生」を求めるマインドの人にとっては面白い時代だ。

・ただし、オモシロイ時代にするためには、大企業に「勤めて」他人の言いなりに働くことを良しとする「受動的人生」とは根本的に異なる生き方が問われている。

・そもそも、現代日本は工業時代の組織=規格大量生産のオペレーション中心組織に過剰適応してしまった。そこでは失敗が少なくて平均点がいい人、組織ニーズに素直に反応する「受動的」な人が重要で、そういう人たちが大切にされてきた。

・今の日本は、規格大量生産の重厚長大型工業時代は終焉を迎え、情報やサービスが時代を引っ張っている。組織ではなく、個人の創造性が全面に出やすくなっている。自分なりの事業機会(opportunity)を探してニッチを作ろう。そうすれば自分の仕事を好きになる。

・起業つまりコトを起こすためには、未実現の需給ギャップを見つけて、そこにテコを入れる発想と行動が大事だ。

・サラリーマンは自分の会社が好きだという神話があるが、それは嘘。国際調査によっても日本のサラリーマンは自社に対する忠誠心、愛情、仕事に対するコミットメントが脆弱でカスカスな状態であることが明らかにされている。

 

 

・21世紀は日本人全員が総起業家になってゆく時代だ。いや、世界人口70億人が全員起業家の時代だ。

 

 

藤野英人さん

・2002年から2012年の10年間を見ると、トピックスコア30銘柄のいわゆる大企業グループは平均して株価がたいして上昇していない。ところが、JASDACは43パーセント上昇、東証2部で67パーセント上昇のパフォーマンスだった。

・上場している中堅・小規模企業(1705社)は経常利益が2倍となり、株価も2倍になっている。こういう企業群をこまめに調べ選別して投資をすれば私みたいにうまくいく。

・トピックスコア30銘柄の大企業では30歳台の役員は一人もいない。高齢者によって経営陣が占拠されている。アマゾン、アップル、フェイスブック、グーグルなどでは社長が30代であたりまえ。

・大学生の就職人気は相変わらず、トピックスコア30銘柄を中心にした伝統的なつまりイノベーションが弱い企業群に集中している。

・田舎の両親も知っている企業だから根拠のない安心感があるだけだ。

・東大、早稲田、慶応などの優秀であるとされる学生がそういう企業にこぞって就職するが、内実は惨憺たるもの。社内は高齢化していて、役職も高齢者によって占拠されていて、高いポジションをゲットすることはできない。給与も上がらない。

・「半沢直樹」がウケているのは、実はそういう構造が背後にあり歪んだ病理みたいなもの。あんなストーリーがウケるのは日本だけ。会社がイヤなら、とっとと辞めて起業しろと言いたい。

・だからそういう企業にムリして勤めると人生に疲れて、人生がつまならくなる。人生がつまらない人、疲れた人たちがたむろする企業からはイノベーションは起きませんよ。

・だから、若者達よ、大企業にもたれるのは止めて、心底、好きなことを探そう。好きなことを核にして起業しよう。好きなことをやれば幸せになれるし、成功確率もグンと上がるからだ。人生が面白くなる。

・そして、好きなことを、好きな人と、好きな場所でやる。昨今劇的に進んでいるIoT、AI、テレワーキング技術などの情報通信技術を上手に使えば、実現可能だ。

 

・とくに、東京以外の地方で独特のニッチを取り込んでいるマイルドヤンキー社長が経営している「地方豪族企業」がいい。そういう会社はコア事業をベースに慎重に、M&Aで地元中小企業を買収して業態を拡大してミニコングロマリットを創りつつある。

・とくにそういう会社は介護、福祉、医療分野にも積極的だ。

・リンダ・グラットンかなんかが、「100年人生」とかなんとか叫んでいて日本政府もあんな馬鹿者を呼んだのは皮肉といえば皮肉だ。

・江戸時代までは日本人の大半は食うために副業をやってましたよ。本来の日本人にとって副業はやってあたりまえ。原点に回帰しよう。

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大変知的刺激に満ちたトークだった。