吐龍の滝

カテゴリー : よもやま話、雑談

清里の川俣川が削り込んだ東沢渓谷を北側に遡行していくと北杜八ヶ岳公園線の清里大橋を遥か上に見上げる。

さらに歩いてぶつかる林道は、「鉢巻き道路」と呼ばれていた清里高原道路ができる前は清里と大泉をむすぶ主要道だったのだが、最近は通行する車はあまりみかけない。

そこからはハイキングロードになっていて、ものの10分も歩くと、この滝に出くわす。

その名も、吐龍の滝という。

恐ろし気な名前だが、吐竜の滝は、落差10メートル、幅15メートルとこじんまりとしている。

毎年夏にはナイアガラの滝に遊ぶのだが、その規模ときたら、落差56m、幅675mだ。

ナイアガラの滝。その落差は吐龍の滝の5倍以上、幅は45倍にもなる。

規模が大きければよいというものでもあるまい。見よ、吐龍の滝の箱庭のような美しさを。楚々とした風情で清涼な水がしたたり落ちる斜面には、ほどよく苔がむし、初春の空気は清々しい。

聞けば、深緑の苔むす岩間からあたかも絹糸のように流麗に流れ落ちるその神秘さから「竜の吐く滝」と名付けられたそうな。

ナイアガラの滝にはない、箱庭のような静謐さが、ここにはある。

AITCS(Assessment of Interprofessional Team Collaboration Scale)日本語版

カテゴリー : 医療サービスイノベーション

「Interprofessional Team Collaboration」の画像検索結果

多職種協働チームの活性度、問題を多面的に計測する日本語版AITCSを実装するクラウドベースの調査システムがなんとか出来上がった。

日本の医療機関や地域包括ケアでも多職種協働が注目されている。昔はチーム医療を呼ばれていたが、すでにこの用語は陳腐化している。

協働や連携が必要なのは医療内部に限定されるのではなく、保健、介護、福祉、まちづくりなどを横断するヘルスケア全体≒地域包括ケアシステムに棲息するあらゆる職種や当事者に拡がっているからだ。

だから、チーム医療ではなく、多職種協働なのである。

AITCS(Assessment of Interprofessional Team Collaboration Scale)とは、英語圏で広範に用いられているヘルスケア関連の多職種協働の効果、機能などの程度を客観的・計量的に測定するスケールだ。参考論文1参考論文2

昨年、仕事でカナダの大学に滞在しているときに、多職種協働を看護の視点から研究しているカナダ人研究者たちとわいわい雑談した。その時に紹介してもらったのだ。

ありがたいことだ。

そこで早々に日本語に翻訳して日本語版AITCSを完成させた。さらに界隈の研究者仲間に声をかけて、公衆衛生学、医療コミュニケーション、助産学、精神看護学、ヘルス・インフォーマティクス、医療管理学などの多職種協働の研究チームを造った。

幸いにちょっとしたグラントもとれたので、いい研究になりそうだ。

そして、質問票のセットをクラウド環境に構築して、スマホ、PCでもストレスなくアクセスできるようにした。病院に対して実施して因子の整合性、信頼性などを因子分析手法を駆使して計量心理学的に実証してみた。

なかなかいい。

いまやヘルスケアの現場では、広範なチームでデータ、情報、知識、知恵をシェアして働くスタイルの確立がまったなしの状況だ。

臨床、ライフログ、ヘルスケアの質や安全などに関する、ありとあらゆるヘルスケア情報が生成され、共有され、ストックされ、活用されるプラットフォームが多職種協働チームだ。

ベンチ(研究)とベッド(臨床現場)を横断的に架橋するトランスレーショナルなチームにも多職種協働が求められる。ナノテクノロジー、バイオテクノロジー、情報技術、認知科学(4つの頭文字をまとめて“NBIC”と呼ぶ)を基盤とした科学技術の分野融合的な収斂させてイノベーションを創発させるのも多職種協働チームだ。

つまり、多職種協働チームが異分野架橋的情報(トランスレーショナル・インフォマティクス)を含むワークスタイルのプラットフォームになりつつある。

しかし、日本では、一般職、主任、課長、部長、経営者といったタテ型の組織価値観、社外・社内といったクローズドな意識が隠微に強く、職種ごとの隠然たるヒエラルキー構造、専門ごとのサイロ構造などが多職種協働チームを阻害しやすい。

そのような日本的文化事情(?)を背景に、とかく抽象論に終始しがちな多職種協働の程度や問題を、日本語版AITCSを用いることによって、実証的に計量化して「見える化」できるので、インパクトがあるツールになるだろう。

 

居心地の良い多様性、米国の学生寮

カテゴリー : No book, no life.

20代のころ、専門分野でとんがり、ディグリーを取るためにアメリカに留学に行った。でも、隠微で鉛のように重い日本というシステムの圧力・圧迫から逃れて放浪(脱システム)することも動機だったように思える。専門を突き詰め、日本から逃避して、知的に放浪する・・・。知的放浪を正当化するためには、東海岸のアイビーリーグに属する大学は都合がよかったのだ。

大学のキャンパスの中にはフラタニティー・ハウスという友愛団体の寮がたくさんある。「面白い日本人がやってきた」ということで、大学キャンパスの西南方向にゆるやかに伸びる傾斜地に立つKappa Alpha Societyのロッジのメンバーとなった。居心地がよかったので、そこに2年間も居ついてしまったのだ。

居心地がよかった理由はなんだろう。

日本人の集団は、だれもが同じように考え、表現し、行動する。またそうするような同調圧力に合わせる規範といったものが、隠微に働く。日本というシステムの内側にのみいると、この摺りこまれた習性にはなかなか気づかない。その一部になりきってしまうからだ。

さて、その友愛団体の寮は、政治主義的には、民主党、共和党、リベラル、さらに尖ったリバタリアン(これが多数派というのも面白い)とばらけていて、人種的には、ワスプ、ユダヤ人、ヒスパニック、黒人、黄色人種とこれまた多様。選考も、政治、経済、数学、物理学、産業労働、心理学、工学、生物学、農学、人間生態、リベラルアーツ・・・、というようにこれまた多様なのだ。

性的嗜好も80パーセントはストレートだったが、20パーセントはゲイ、バイ。

この中間団体はフリーメイソン系のロッジでもあり、よくふらっと放浪者や学問愛好者がおとづれては会議に参加するために数日泊まってまたどこかへ消えてゆく。

皆はそれぞれ異なっていてあたり前。だからお互いの違いを尊重しながらバカ騒ぎやランチキ騒ぎを繰り返しつつ勉学にも励み、ラディカルにプラグマティックに共同生活を織りなしてゆく。

日本にない多様性が実に居心地よかったのだ。

今でも日本人だけの集団や会議に、言い知れぬ違和感を覚えるのは、こういう多様性のなかで、青春のひと時にを謳歌したことによるものだろう。

 

評伝 小室直樹』(上・下)

カテゴリー : No book, no life.

画像に含まれている可能性があるもの:1人以上

村上篤直『評伝 小室直樹』(上) 学問と酒と猫を愛した過激な天才』(768ページ)『同(下) 現実はやがて私に追いつくであろう』(746ページ) 村上篤直氏が執念を燃やして書き上げたこの評伝二部作の大著。

空前絶後の小室学(社会科学の統合者)としての学問展開の学術的軌跡のみならず、数々の破天荒な奇行、逸脱、越境、乱痴気騒ぎ、裏話・秘話・痴話の類が満載だ。

硬軟織り交ぜた物語の展開に、ずんずん引き込まれる。きちんと小室の著作を読み込んでいる著者の真摯な向き合い方にも好感がもてる。いや、村上は、真摯どころか、命を賭けた真剣勝負をこの2巻で挑んでもいるようだ。

脚注も充実、取材者リストも強烈。さらに小室直樹の年譜が巻末についているも素晴らしい。著者の村上は小室直樹の全著作物を渉猟し、掘り下げ、さらに関係者に周到にして緻密なインタビューを敢行。

直接あったことがある人物が以外な側面を見せながら登場しているも新鮮だ。えっ、そうだったの?!という人間模様の描写が、これまた面白い。

そしてこの大著。松下が直接知る方々も多数登場。ああ、そうだったのかと、時に抱腹絶倒、時に深いため息をつき、感動も新たに5日かけて読了。

生涯、初オーロラ

カテゴリー : アメリカ

秋口にちょっと時間ができたので、アラスカに行ってきた。

と言っても、自転車ではなく、移動手段として飛行機とアラスカ鉄道とバスを乗り継ぐ旅。

人力移動ではなく、交通手段による移動。なんという贅沢。

毎年訪れているカナダや北海道。でも、もっと北にはアラスカがある。

北への憧れ。

北への衝動。

もっと、もっと北へ。

そう、アラスカへ。

そんな北へのアラスカ夢遊病に罹患して何年経ったのだろう。

アラスカの夜の空は、そんな夢遊病者をやさしく迎えてくれた。

なんと北緯65度では、北斗七星が下側に見え、北斗七星に覆いかぶさるようにしてオーロラが乱舞するのだ。

次期ツーリング自転車、納車!

カテゴリー : システム思考

せっせと研究し、研究成果を書物として出版し、そして得た印税を原資として(汗)、700cツーリング自転車を赤羽のサイクルショップ玄の吉澤玄三さんにオーダー。

自由に書いては走る、自由に走っては書くという生活にあって、自転車は「自由」を得るための手段でもある。たしかに自転車は、単なる旅の道具にしかすぎない。

でも、そこには抽象的な「自由」を実際に具現化する道具というプラクティカルな意味がある。プラクティカルな道具として使いこなすためには、目的を明確に持つことが案外大事だ。

道具の目的:

①北海道などの山谷をタフに走破する。ただし舗装路が中心。<走行性能>

②キャンピングでテント、シュラフ、自炊道具、食糧など90リッター、30km以上の装備をストレスなく自転車本体に装着できる。<アウトドア生活性能>

③飛行機を含む他の交通手段を利用して機動的に移動できる。<輪行性能>

 

北海道などへの輪行が多いのでフォーク抜きができるように、ブレーキワイヤーは上出し。過去、ブレーキレバーとシフターが一体化されたメカも使ってきたが、今回は、コンパクトに輪行するためには、フォーク抜きを選択。

設計思想:

以上の目的から<走行性能>、<アウトドア生活性能>、<輪行性能>といった要件が明確になる。

これらの要件を達成するためには合理的な設計思想が必要だ。自転車づくりには厳然とした目的合理性が求められる。これをはずすと、やれビンテージだの、時代考証だとか、ある種の魔界に迷い込むこととなる。

異界、魔界はツーリングや旅そのもので求めるべし。道具にはそのようなものは求めない。

さて、上記目的①走行性能、②アウトドア生活性能、③他の交通手段を用いた移動つまり輪行との整合性を合理的に具現化する。

デザイン思想:

ファンクショナリティを追求するため、ツーリング自転車パーツのイノベーションの成果を最大限取り込みながらも、ランドナーのテーストも随所に盛り込む。

機能性と趣味性といった異質なエレメントを結びつけることにランドナーの難しさがあり、でも面白さが隠れている。

アルプスのクライマー赤、700cランドナー黄色、そして今回は青なので三原色が揃った。いや、サムライブルー。(2018ワールドカップ日本ベスト16記念でもある)

スプロケット(フリーホイール) 12-26 8s
リム パピオン 32H
Fハブ グランボア ラージ 32H
Rハブ グランボア ラージ 130 32H シマノ
スポーク DT チャンピオン 1.8 @65×64本 
タイヤ グランボア シプレ 700c
チューブ ヴィットリア
リムフラップ DEDAパニアラックにオーストリッチ特大パニアバッグを取り付けるため。

後方からは本所の亀甲の泥除けが映える。700cホイールにはのっぺりしたマッドガードを選択する向きが一般的か。

マッドガード H31CN 亀甲。マッドガードステー 本所
ダルマネジ グランボア ステンレスx6+輪行用x2

でも、亀甲模様のクオリアがツーリング自転車のテーストを引き立てる。まあ、走行性能とはあまり関係ない趣味の世界なのであるが。。

シートテールライト KIREI USB LM-016 。北海道のトンネルは長く暗い。後方に対する存在を明確に伝えるために、今回はシートテールライト KIREI USB LM-016を装備することに。さらに、キムラのアルミ削り出し小型のリフレクター をリア泥除けに装着。若干の趣味性もある。

TAシクロツーリスト47-36-26のトリプル。アルプスパスハンターでは、フロントはダブルのみ。前は2枚でも、十分にワイドかつシームレスななギア比の選択ができる。

北海道の主要峠はどんどん舗装化が進んでいる。でも、訓子府からチミケップ湖へ繋がる道道494号線(訓子府津別線)のオロムシ林道、オロムシ越林道などはいまだに未舗装のダート。数年前、これらの林道をキャンピング装備で走ったときはフロント3段が重宝したのだ。

こんな走りをするので、今回もフロントは3段として、フロントの26Tとリアスプロケットの26Tでなんと1:1を隠しギア比として持つことにした。

フロント変速機はマイクロシフト R539。リア変速機 はマイクロシフト R47。

クランク ストロングライト49D 170mm。チェーンリング ミドル イン TA 36×26 5500 、5000。ペダルは1970年代もののカンパレコード鉄プレート。これら脚まわりのパーツは過去ためてきた在庫からチョイス。

浅麓堂の中堀氏は、常々「パーツから自転車が生える」という独特の表現をするが、いつかはクランク ストロングライト49DとTAチェンリングとカンパレコードペダルを荘厳したツーリング自転車に乗りたいと思っていたので49Dから自転車本体が派生したとも言えなくもない。

ボトムブラケット シマノ BB-UN55 。チェーン シマノ HG71。スプロケット(フリーホイール) 12-26 8s。

スポーク DT チャンピオン 1.8 @65×64本。タイヤ グランボア シプレ 。

ブレーキ本体 シュエット 2632 モダン

シートテールライト KIREI USB LM-016

ハンドルステム トーエイ 70mm ベルは右側。

ハンドルバー 日東 #135ランドナー 420mm

近年の東叡社ではステムキャップの刻印は受け付けてくれないそうなのだが、そこは多少の無理を言わせてもらって、ネーム打刻印。べつに機能性は関係がない部分で、趣味に属する部分。

書物に著者の名を明示するように、自転車にもサイクリストの名を刻む。チンカンベルよりも、とっさのときは、大声で叫ぶのが利く。

シートチューブの裏側のスペースを有効活用し、ぎりぎりの空間<隙>を活用。ななめ左にずらしながらも、このわずかなスペースにポンプを収納する。おそらくは日本に数台もない処理のしかただと思われる。

脚に絡むことなく、BBから上、シートチューブの左後ろの隙にちゃんと収まる。

「隙」を上手に使うのが「数寄」だろう。数寄者は数寄モノを好む?

チューブ ヴィットリア @800×2。細かなところで、リムフラップは DEDAをチョイス。

玄さんシールが可愛らしい。

 

 

サドル BROOKS チームプロ。皮サドルは乗り込むと同時になじんでオンリーワンサドルに時の経過とともに変身してゆく。

自動代替テキストはありません。

ブルックスのカンビウムC17もぼちぼち試してみたい。

玄さん、いろいろなわがままを聞いてもらって、ありがとうございました。一生懸命走って、このかけがえのないツーリング自転車に磨きを掛けます(笑)!

診療報酬・介護報酬解説BOOK 2018(平成30)年度改定対応版: 看護政策・経営学で読み解く

カテゴリー : No book, no life.

拙著を出版しました。

今回の企画は、大島敏子先生とコラボして、2018年度の診療報酬・介護報酬同時改定を受け、看護の現場に直結する内容を選りすぐって改定裏話も含めて解説するというもの。

ただし、類書と最も異なるのは、看護政策・経営学という松下独自の体系をベースにして、診療報酬・介護報酬のツボをつかみ、うまく活用するノウハウを紹介しているところです。

一般病棟入院基本料の評価体系の見直し、入退院支援など地域連携をはじめとした加算の内容から今後の方向性まで、看護管理者が押さえておきたいポイントを解説しています。

医療管理学、政策分析学の立場から松下が編集と執筆を行いました。さて、ここでは一般病棟入院基本料の評価体系についてのみ書きます。

              ***

そもそも7対1が創設された2006年に、多くの病院が高い報酬を求めて 7対1を取得しようとして看護師採用争奪戦が巻き起こりました。
 
 厚労省は、当初は7対1の届出病床数2万床を政策的な目標としました。この読みが大きく外れ、ピーク時には約38万床まで激増してしまいました。
 
 政策的な誤算を通り越えて、これは事実上の大失政と言わなければなりません。
 
 しかし、厚労省はこの失政を認めませんでした。「官僚の無謬性」という疾患です。
 
 あげくのはてには、7対1が過剰になったところで、厚生労働省は7対1の施設基準を厳しくすることよって、7対1 から10対1に逆誘導しなおしました。
 
 さらなる失策の上塗りです。
 
 このように 7対1 と10対1を巡る入院基本料の改定の歴史は、創設時の誤算と失政の上塗りともいうべき状況です。巷かまびすしい根拠に基づいた政策策定(Evidence-based Policy Making)とは隔絶しています。
 
 このようにして、社会的共通資本(宇沢弘文)である医療・看護サービスが、社会的共通資本を擁護、増進するべき厚労省によって、こともあろうに毀損されてきたのです。
 
そして、改定のたびに、医療経営関係者の吐息、被害者意識、怨嗟、冷笑がないまぜとなり、不信感を醸成してきました。

今次改定もこのような歴史的文脈から分析する必要があります。
 
2018年の前回改定は、7対1と10対1の最高部分が、それぞれ1591点と1387点であり、その差は204点という大きな報酬差がありました。また医療機関としても管理単位が異なると状況に合わせて弾力的な配置をしたくてもできませんでした。そのため 7対1から10対1への届け出変更が非常に難しかったのです。これは制度設計に問題があったのです。
 
 ところが、今次改定では積年の失政の上塗りを一気に「御和算」して、大胆に制度設計をやり直してきました。

つまり、患者の集客が滞り、稼働率が低下し、重症度と医療・看護必要度が低下すると7段階の階段を右上から左下に向かって落ちることになりうるのです。
 
 筆者がペイ・フォー・パフォーマンス7段階逆スライド方式と命名する所以です。
 
 7対1の人員基準をクリアして1591点を確保していたにも拘わらず、稼働率が下がり、重症度と医療・看護必要度も下降すると、急性期一般入院基本料の2階部分が、入院料1(1591点)→入院料2(1561点)→入院料3(1491点)→入院料4(1387点)→入院料5(1377点)→入院料6(1357点)→入院料7(1332点)というように落ちてゆくという仕組みです。

700cツーリング自転車が完成まじかorマジカ?!

カテゴリー : 自転車ツーリング

自転車バカの3年越しの計画が着実に進捗中。

700cツーリング自転車を長年憧れていた(極端な片思い)Bicycle Shop玄さんに意を決して、オーダーしたのが一昨年。東叡社製ランドナー、ツーリング自転車のオーダーメードでは右に出る人物はいない。

吉澤 玄三師匠。

ここ数年、東叡社の作業待ち期間は2年弱だ。待ちに待ったフレームがいよいよ出来上がって、師匠によって部品が丁寧に取り付けられつつある。

自動代替テキストはありません。

自転車は創発的な道具だと思う。サイクリングは自分のペースでソロで楽しむのが基本だ。自分でプランニングし、好きな処へ、好きな時に、好きなように走って移動する。そのためには自分だけのための道具が必要となる。

もっとも身近で素朴な、テクノロジーによる人間能力の拡張(human augmentation)。自転車は、前に進む、曲がる、止まるという素朴な機能を拡張してくれる。キャリアを装着して各種ザックにキャンプ道具を積み込めば、自力で遠くに行けて野外生活もできる。

ガソリンで駆動するクルマのように環境に負荷をかけない。自動車の社会的コストに比べれば、はるかに少ない。同じ遊ぶなら、クルマに乗って遊ぶよりも自転車に乗って遊ぶ方が、地球生態系のために優しいのだ。

その道具がオーダーメイド・ツーリング自転車。自分の走りにあわせて、好きなようにオーダーする。でも専門家たる工房主の知見、アドバイスは必須。

ツーリング用の現行部品をアッセンブルの基本として、チェンリング、クランク、ペダルなどはガレージの在庫をひっくり返して取り付けることにした。時代考証とかビンテージ趣味などのアナクロニズム趣味もいいものだが、あくまでファンクショナリティを基本構想に据えた。

日帰りでは200km位を高速スポルティーフのように巡航し、手持ちの大型Fバッグと大型パニアバッグを取り付ければ、キャンピング・ツーリング自転車となる。飛行機輪行が多いので、ブレーキワイヤー上ぬきでフォーク抜き輪行仕様とした。

自動代替テキストはありません。

フィレット仕上げ、正確にはフィレットブレイズと呼ばれるこの工法。接合部に真鍮ロウを盛り、整形し仕上げてもらった。溶接ビードが一切なく、滑らかな仕上がりになることがその特徴。

ただし、美しい仕上がりとするためには高い技術力が必要だ。スチールに関する経験やノウハウを絶やさず継承し高め続けた東叡社ならでは。

自動代替テキストはありません。

インフレ-タの格納場所はシートチューブの左横後ろという変則の美学。グランボアのセンタープルブレーキ「シューレットモダン」。

自動代替テキストはありません。

センタープル用フロントキャリアとパニアバッグ用のリアキャリア。スッキリした形状のパニアラックだが、オーストリッチの特大パニアバック左右で84リッターも収納できるので、昔の4サイドバックを全部詰め込むよりも多くの容量を収納できる。

東叡社特性ラグなしのクロームモリブデン鋼ステム。突出しは自分としては短めにしてもらった。

本所の泥除けは亀甲型。サービス・サイエンスのレンズで考えてみる。腕利きのオーダーメード自転車の工房主と、オンリーワンのニーズを持つ発注者=クライアントは対話=インタラクションを通して価値共創する。最終的にはチャリンコというモノ的なシステムに結実するのだが、そこに至る過程はサービスそのもの。

ラグなしのフィレット仕上げのフレーム、とくにヘッドチューブ周りは端正にしてスッキリと美しい仕上がり。

ヘッド回り。この角度からの風景がいい。

キムラ製テールランプはアルミ削り出しの逸品。亀甲パターンの泥除けには端正ながらもツーリング自転車に似合う質感がある。リアスプロケットは8段(12-13-15-17-19-21-23-25)

足回りはI’s Bicycleの土屋さんが、念を籠めて作っているパーツをふんだんにチョイス。ハブはグランボアLFQR130mm。リムはグランボアパピヨン32穴。スポーク プレーン#15(1.8mm)タイヤはグランボアシプレ。

ペダルは堅牢なカンパの鉄プレートを手持ちの在庫からチョイス。近年青色のストラップバンドはとんと見かけない。ことろが、玄さんの秘密在庫からTOEIのストラップバンドが出てきたので、フレームの色に合わせて選択。

ラッキー。

チェンリングは手持ちのTAシクロツーリスト。47-36T。これに26Tを足してトリプル仕様。ロー側は北海道の舗装道路ではめったなことでは使わないものの、急峻な林道の登りに対応するためトリプルに。クランクは手持ちの在庫からストロングライト49Dをチョイス。

印税が自転車に化けた。

「欧米」という特殊な日本語

カテゴリー : 英語、語学

main47

とある医療系国際会議での出来事。

国際会議といっても英語が話せない日本人もなぜかかなり出ていて、彼らの日本語を英語に翻訳する通訳がいる。日本で開催される「国際会議」独特の風景だ。

そこで、とある名誉教授先生が「欧米は」を連発し、日本が遅れていることを、これでもかこれでもかと指摘するのだ。

すると、カナダから参加した教授が言った。

「アメリカと欧州はまったく異なるので、その『欧米』という奇妙な言い方は正しい呼び方ではない!」

もっともなことだ。

アメリカとまったく異なる政治体制、社会思想の系譜に建つ多民族国家カナダにしてみれば、欧州の知的系譜をマジメに継承しながら、アメリカの社会制度、経済制度をよしとしない知識人はゴマンといる。

ただでさえ、アメリカとはまったく異なるお国柄のカナダにしてみれば、「欧米」というよういに多様性をいっさい無視して、均一化して議論するやりかたは、あまりにも乱暴だ。いや乱暴を越えて非知性的なのだ。

たしかに日本にいると、世界を「欧米」、「アジア」、「アフリカ」のように単純きわまりなく輪切りにして議論することがあまりに多い。

英語圏では、「欧米」つまり、European America, American Europe, Europe and the USなんて表現は、とんと聞かない。こんな意味不明な特殊用語が流通しているのは日本だけだ。

その、あたりまえすぎる感覚がまったくない土着系日本人の発言は、なるほど、奇妙きわまりないのだ。

日本にのみ流通する特殊用語辞典をだれか作らないか?売れるだろう。

原稿とカネ

カテゴリー : モノ書き

書くことは人生を切り拓く武器だ。
なぜなら、文章によって見ず知らずの他者に伝えることができる。そして、他者にとってタメになることを伝えれば、そこに「効用」が発生するからだ。

過去1か月でスキマ時間をちょくちょく使って専門誌の原稿を2本書いた。

松下博宣(2018).異界越境するリーダーがイノベーションを興す」.medical forum CHUGAI Vol.22 No. 2, 2018. 

松下博宣(2018). 地域包括ケアシステムのなかで複合経営体化する医療法人」. 「商工金融」.2018年4月号.

もの書きの性として、執筆依頼にはできるだけ応えたいものだ。

商業誌に原稿を寄稿すれば、原稿料が入り小遣い程度にはなる。

査読つきの学術誌は、原稿料など絶対に著者に支払わない。原稿を原著論文として発表すること自体が研究者の目的であり、レフェリーの審査を経て、その原稿を「出版してもらう」のが基本なのだ。出版の暁には晴れて業績としてカウントされる。

ところが最近は、英語圏の学術誌のなかには、著者に出版料を支払らわせて掲載する媒体が増えている。たしかに、査読や原稿の手直し、不正論文の調査など一定の質を保証するためにはコストがかかる。

そのコストを著者に負担させるというビジネスモデルだ。著者が研究費や競争的資金などを持っている場合、それらが原資となる。

駆け出しの研究者は自分の論文をカネを払ってまで出版したい。それが自分の業績になるからだ。だから、コストを著者に負担させる学術誌もどんどん購読者を増やしている。

このような訳なので、研究者を取り巻く出版事情はざっくり3つに区分することができる。

①金銭を払って自分の原稿を出版する

→ こんなもの、やりたくないね。

②金銭の授受を一切せずに自分の原稿を出版する

→ 通常の学術誌。当然やります。

③金銭を対価として得て自分の原稿を出版する

→ 学術コミュニティ以外の専門家や実践コミュンティなどに知見を拡散することができる。当然やるべきだ。

 

南八ヶ岳清里高原

カテゴリー : 自転車ツーリング

画像に含まれている可能性があるもの:山、空、屋外、自然

<東沢大橋>

GWは込むので、この季節がいい。

週末、天気が良かったので山荘の掃除などを兼ねて八ケ岳南麓の清里の森へ。

大リノベーションは2年かけて済ませたのだが、昨年の秋に訪れた以来だ。

カメラスポットの東沢大橋。早朝ここまでジョギングで往復。

谷の木々の芽吹きの新緑が淡い。稜線直下はまだ雪が張り付いている。

 

頑丈なトレーラーハウスとはいえ、標高1300mに設置してあるので冬の厳しさはきつい。一冬超えて痛んだ箇所を修理。

画像に含まれている可能性があるもの:空、山、屋外、自然

<茅ケ岳と富士山>

人はまばら、車の交通量も少ない。

富士山、北岳、甲斐駒ケ岳、鳳凰三山(地蔵、薬師、観音の三山)南アルプスの大山塊、南八ツの赤岳、権現岳、三つ頭、奥秩父の金峰山、瑞牆山がくきっり。

近くの美しの森まで小走りで登る。

木道の向こうには権現の稜線が。

画像に含まれている可能性があるもの:空、木、山、植物、屋外、自然

<権現岳>

赤岳。業行者小屋から地蔵尾根を経て赤岳へ、そして真教寺尾根を下って清里まで下りてくるもの面白いかもしれない。

画像に含まれている可能性があるもの:空、山、木、屋外、自然

<甲斐駒ケ岳>

画像に含まれている可能性があるもの:空、木、山、屋外、自然

<赤岳>

診療報酬制度改定の解説(批判)本

カテゴリー : No book, no life.

2018年度は、診療報酬改定と介護報酬改定の「ダブル改定」と同時に、医療計画と介護保険事業計画の見直し、地域医療構想と在宅医療・介護連携推進事業の進展、国保財政の都道府県への移管、保険者努力支援制度の本格化など、数多くの医療改革が同時に実行される。

平成30年度診療報酬改定の基本方針(案) に関する参考資料 

それゆえに、「同時多発改定」や「惑星直列」になぞらえられることもあるくらいだ。こうなると、この界隈の業界は一気に診療報酬改定セミナーや解説本など、各種コンテンツのマーケティングで忙しくなる。

ということで今年の3月も原稿書きで忙しい。。よくある解説本は厚生労働省の政策誘導音頭のお先棒担ぎにしかすぎないので、医療管理学の中立的な立場から批判することも忘れてはいけない。

今次改定では、介護保険施設だけでなく高齢者住宅などの運営にも大きな影響を及ぼすと考えられる介護医療院が創設された。住まいの機能があるということで、自宅等の「等」に含まれるという。

さらには医療と介護の連携推進を目的とした仕組みが、診療報酬・介護報酬どちらにも盛り込まれる。そして、介護報酬では訪問介護の生活援助の大幅な見直し、通所介護へのアウトカム評価が導入される。

各地区で地域包括ケアシステムの構築が本格化する中、医療・介護事業に携わる経営者、看護管理者にとって、診療報酬と介護報酬の両方の報酬体系を理解した上で範囲の経済の機微を熟知したうえで、事業戦略を練ることがますます重要となる。

新時代のキャリアデザインは3KX3F

カテゴリー : デザイン思考

画像に含まれている可能性があるもの:空、靴、飛行機、屋外

<岐阜城から長良川を遠望>

名古屋大学医学部附属病院キャリア開発支援センターにおよびいただき、アウトリーチ&講演に行ってきた。

「働き方革命」とかいろいろ議論があるが、①基業、②奇業、③起業、④福業、⑤副業、⑥複業が軸になるという話をさせていただいた。医療関係者の新しいキャリアデザインは3Kかけることの3Fとなる。

3K
①基業  専門性の基本をシッカリこなす仕事
②奇業 奇妙奇天烈なモノコトを仕事化する
③起業 自分で業を起こしてしまう起業
3F
④福業 まわりの人たちを幸福にする仕事
⑤副業 メインの仕事いがいに自分ならではのサブ仕事
⑥複業 複数の仕事をこなすスーパーフリーランス自由人

さて、時間を作って、長年の課題であった金華山の岐阜城に登る。20年くらい前だろうか、長良川のほとりのコンベンションホールで開かれた第1回日本看護サミットでパネルをやったことがあった。

その時に金華山を見上げて、あそこに登ってみたいと思ったのが最後で、結局仕事などに追われて、登る機会を逸していたのだ。

なんのことはない。働き方革命をああだこうだ言う前に、もしかしたら遊び方革命が必要なのかもしれない。

ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)たらんとするためには、仕事のなかに遊びの要素を織り込み、遊びのなかにも仕事の要素を含ませ、仕事を遊びを無境界化させるのである。

情報と秩序:WHY INFORMATION GROWS by César Hidalgo

カテゴリー : No book, no life.

 

 

「経済成長とはそもそも情報成長のひとつの表われにほかならない」、「宇宙はエネルギー、物資、情報でできている」と言い放つヒダルゴには情報原理主義者の香りがしないでもない。ただし、教条的、狂信的な原理主義者とは根本的に異なるのは、プラクティカルな地平で、たとえば、複雑系科学、ネットワーク理論、社会関係性資本、制度派経済学の知見を駆使して「経済複雑性指標」を開発して「経済複雑性ランキング」(Economic Complexity Rankings)など一般に公開していることだ。経済成長の著しい場所は、情報成長が著しい場所である。ほうっておけば混沌が支配するはずの物理世界で情報が結集し、秩序が形成されるポイント(これは「場」といったほうがいい)―著者の提唱する「想像の結晶化」作用が起こる場所だ。

 
以下、気の利いたセンテンスをまとめてみる。
 
               ***

・学問の垣根を超えた愛のダンスを踊る人々の中に、誰にでもちょかいを出すプレイボーイがひとりだけいた。それが「情報」である。p17

・1950年代から60年代にかけて、情報という概念は科学界を席巻した。情報は科学の境界を越境する強力な概念として、あらゆる学問分野から熱烈な歓迎を受けたのだ。p18

・私たち人間にとって、情報と意味を区別するのは難しい。人間はメッセージを解釈せずにはいられないからだ。意味とは、メッセージが情報を処理できる生命体や機械に届いたときに初めて生じるものであって、情報を伝達させるインクの染み、音波、パルスに含まれているわけではないのだ。p21

・私たちの世界は情報を孕んでいる。どろっとした原子のスープではなく、様々な構造、形状、色、相関関係が、整然と集まって組織されている。たとえそういう物理的秩序になんらの意味がにとしても、その整然とした構造は情報の顕われなのである。p25

・非平衡系は、秩序が自然に発生し、情報の破壊を最小化するような定常状態へと自己組織化されるのだ。p62

・人間が製品を欲しがるのは、製品が他人の神経系にある知識やノウハウの実用的用途にアクセスさせ、私たちの能力を増強してくれるからなのだ。・・・・私たちが想像を結晶化するのは、アイディアを共有可能な現実にかえるためでもある。p103

・経済を知識やノウハウの増幅エンジンとして解釈するのだ。経済は人間の増強(進歩とか進化といってもよいだろうね)に必要な情報を含む物理的なパッケージを生み出すことのできる、複雑な社会技術システムというわけである。突き詰めていえば、経済とは、人間が情報を成長させるための集団的システムといえる。p105

・情報は、モノ、本、ウェブページなど、製品という形で容易に移動できるが、知識やノウハウは人々の肉体やネットワークのなかに閉じ込められている。p117

・エルヴィン・シュレーディンガーは、1944年の著書『生命とは何か』で、生命において個体が情報の担い手であることを強調した。彼は、生命とは情報を蓄えたり処理したりする能力に優れた、平衡から遠く離れた系であることを理解していた。p226

・社会関係資本に欠かせない形のひとつである信頼は、巨大なネットワークを形成し、維持するための”接着剤”であって、ネットワークに蓄積される知識やノウハウとは違いものである。p158・・・信頼は、関係構築のコストを抑えることで、より多くの知識を蓄積できる巨大なネットワークを形成しやすくするのだ。p159

・もっと意外なのは、この経済複雑性指標(Economic Complexity Index)とひとりあたりGDPとの相関関係ではない。重要なのは、この経済複雑性指標でひとりあたりGDPの長期的な変化を説明でいるという点なのだ。p206

・「情報」とは、音楽やDNAに見られる配列のように、体系化された配列に具象化されている秩序のことであり、「知識やノウハウ」とは、システムが持つ情報処理能力のことである。p213

宇宙はエネルギー、物資、情報でできている。p225

人間は物資の持つ計算能力の究極の化身である。人間は新しい形態の情報を生み出すような脳や社会を組織化してゆく過程で、その計算能力を具象化する。私たちが情報を蓄える場所はモノである。モノがあるからこそ、メッセージを伝えたり、社会的活動や仕事を連携させたりできるのだが、より重要なのは知識やノウハウなどの実用的用途を伝えられる、という点だ。p228

村口和孝氏X藤野英人氏による刺激満載の講演&パネル

カテゴリー : アントレプレナーシップ

大学のシンポで、村口和孝さんと藤野英人さんによる面白い講演&パネルが開かれた。言わずと知れたベンチャー投資家、ファンド運用者として大成功を収めているお二人だ。

実は前職の東京農工大学技術経営研究科でアントレプレナーシップの講座を持っていた時、ぜひ教室に呼んでトークしてほしかったが、かなわなかったお二人。これもなにかのご縁だ。忘れないうちにメモしておこう。

村口和孝さん 

・これからは未来を積極的に実現してゆこうという「能動的人生」を求めるマインドの人にとっては面白い時代だ。

・ただし、オモシロイ時代にするためには、大企業に「勤めて」他人の言いなりに働くことを良しとする「受動的人生」とは根本的に異なる生き方が問われている。

・そもそも、現代日本は工業時代の組織=規格大量生産のオペレーション中心組織に過剰適応してしまった。そこでは失敗が少なくて平均点がいい人、組織ニーズに素直に反応する「受動的」な人が重要で、そういう人たちが大切にされてきた。

・今の日本は、規格大量生産の重厚長大型工業時代は終焉を迎え、情報やサービスが時代を引っ張っている。組織ではなく、個人の創造性が全面に出やすくなっている。自分なりの事業機会(opportunity)を探してニッチを作ろう。そうすれば自分の仕事を好きになる。

・起業つまりコトを起こすためには、未実現の需給ギャップを見つけて、そこにテコを入れる発想と行動が大事だ。

・サラリーマンは自分の会社が好きだという神話があるが、それは嘘。国際調査によっても日本のサラリーマンは自社に対する忠誠心、愛情、仕事に対するコミットメントが脆弱でカスカスな状態であることが明らかにされている。

 

 

・21世紀は日本人全員が総起業家になってゆく時代だ。いや、世界人口70億人が全員起業家の時代だ。

 

 

藤野英人さん

・2002年から2012年の10年間を見ると、トピックスコア30銘柄のいわゆる大企業グループは平均して株価がたいして上昇していない。ところが、JASDACは43パーセント上昇、東証2部で67パーセント上昇のパフォーマンスだった。

・上場している中堅・小規模企業(1705社)は経常利益が2倍となり、株価も2倍になっている。こういう企業群をこまめに調べ選別して投資をすれば私みたいにうまくいく。

・トピックスコア30銘柄の大企業では30歳台の役員は一人もいない。高齢者によって経営陣が占拠されている。アマゾン、アップル、フェイスブック、グーグルなどでは社長が30代であたりまえ。

・大学生の就職人気は相変わらず、トピックスコア30銘柄を中心にした伝統的なつまりイノベーションが弱い企業群に集中している。

・田舎の両親も知っている企業だから根拠のない安心感があるだけだ。

・東大、早稲田、慶応などの優秀であるとされる学生がそういう企業にこぞって就職するが、内実は惨憺たるもの。社内は高齢化していて、役職も高齢者によって占拠されていて、高いポジションをゲットすることはできない。給与も上がらない。

・「半沢直樹」がウケているのは、実はそういう構造が背後にあり歪んだ病理みたいなもの。あんなストーリーがウケるのは日本だけ。会社がイヤなら、とっとと辞めて起業しろと言いたい。

・だからそういう企業にムリして勤めると人生に疲れて、人生がつまならくなる。人生がつまらない人、疲れた人たちがたむろする企業からはイノベーションは起きませんよ。

・だから、若者達よ、大企業にもたれるのは止めて、心底、好きなことを探そう。好きなことを核にして起業しよう。好きなことをやれば幸せになれるし、成功確率もグンと上がるからだ。人生が面白くなる。

・そして、好きなことを、好きな人と、好きな場所でやる。昨今劇的に進んでいるIoT、AI、テレワーキング技術などの情報通信技術を上手に使えば、実現可能だ。

 

・とくに、東京以外の地方で独特のニッチを取り込んでいるマイルドヤンキー社長が経営している「地方豪族企業」がいい。そういう会社はコア事業をベースに慎重に、M&Aで地元中小企業を買収して業態を拡大してミニコングロマリットを創りつつある。

・とくにそういう会社は介護、福祉、医療分野にも積極的だ。

・リンダ・グラットンかなんかが、「100年人生」とかなんとか叫んでいて日本政府もあんな馬鹿者を呼んだのは皮肉といえば皮肉だ。

・江戸時代までは日本人の大半は食うために副業をやってましたよ。本来の日本人にとって副業はやってあたりまえ。原点に回帰しよう。

           ***

大変知的刺激に満ちたトークだった。