次期ツーリング自転車、納車!

カテゴリー : システム思考

せっせと研究し、研究成果を書物として出版し、そして得た印税を原資として(汗)、700cツーリング自転車を赤羽のサイクルショップ玄の吉澤玄三さんにオーダー。

自由に書いては走る、自由に走っては書くという生活にあって、自転車は「自由」を得るための手段でもある。たしかに自転車は、単なる旅の道具にしかすぎない。

でも、そこには抽象的な「自由」を実際に具現化する道具というプラクティカルな意味がある。プラクティカルな道具として使いこなすためには、目的を明確に持つことが案外大事だ。

道具の目的:

①北海道などの山谷をタフに走破する。ただし舗装路が中心。<走行性能>

②キャンピングでテント、シュラフ、自炊道具、食糧など90リッター、30km以上の装備をストレスなく自転車本体に装着できる。<アウトドア生活性能>

③飛行機を含む他の交通手段を利用して機動的に移動できる。<輪行性能>

 

北海道などへの輪行が多いのでフォーク抜きができるように、ブレーキワイヤーは上出し。過去、ブレーキレバーとシフターが一体化されたメカも使ってきたが、今回は、コンパクトに輪行するためには、フォーク抜きを選択。

設計思想:

以上の目的から<走行性能>、<アウトドア生活性能>、<輪行性能>といった要件が明確になる。

これらの要件を達成するためには合理的な設計思想が必要だ。自転車づくりには厳然とした目的合理性が求められる。これをはずすと、やれビンテージだの、時代考証だとか、ある種の魔界に迷い込むこととなる。

異界、魔界はツーリングや旅そのもので求めるべし。道具にはそのようなものは求めない。

さて、上記目的①走行性能、②アウトドア生活性能、③他の交通手段を用いた移動つまり輪行との整合性を合理的に具現化する。

デザイン思想:

ファンクショナリティを追求するため、ツーリング自転車パーツのイノベーションの成果を最大限取り込みながらも、ランドナーのテーストも随所に盛り込む。

機能性と趣味性といった異質なエレメントを結びつけることにランドナーの難しさがあり、でも面白さが隠れている。

アルプスのクライマー赤、700cランドナー黄色、そして今回は青なので三原色が揃った。いや、サムライブルー。(2018ワールドカップ日本ベスト16記念でもある)

スプロケット(フリーホイール) 12-26 8s
リム パピオン 32H
Fハブ グランボア ラージ 32H
Rハブ グランボア ラージ 130 32H シマノ
スポーク DT チャンピオン 1.8 @65×64本 
タイヤ グランボア シプレ 700c
チューブ ヴィットリア
リムフラップ DEDAパニアラックにオーストリッチ特大パニアバッグを取り付けるため。

後方からは本所の亀甲の泥除けが映える。700cホイールにはのっぺりしたマッドガードを選択する向きが一般的か。

マッドガード H31CN 亀甲。マッドガードステー 本所
ダルマネジ グランボア ステンレスx6+輪行用x2

でも、亀甲模様のクオリアがツーリング自転車のテーストを引き立てる。まあ、走行性能とはあまり関係ない趣味の世界なのであるが。。

シートテールライト KIREI USB LM-016 。北海道のトンネルは長く暗い。後方に対する存在を明確に伝えるために、今回はシートテールライト KIREI USB LM-016を装備することに。さらに、キムラのアルミ削り出し小型のリフレクター をリア泥除けに装着。若干の趣味性もある。

TAシクロツーリスト47-36-26のトリプル。アルプスパスハンターでは、フロントはダブルのみ。前は2枚でも、十分にワイドかつシームレスななギア比の選択ができる。

北海道の主要峠はどんどん舗装化が進んでいる。でも、訓子府からチミケップ湖へ繋がる道道494号線(訓子府津別線)のオロムシ林道、オロムシ越林道などはいまだに未舗装のダート。数年前、これらの林道をキャンピング装備で走ったときはフロント3段が重宝したのだ。

こんな走りをするので、今回もフロントは3段として、フロントの26Tとリアスプロケットの26Tでなんと1:1を隠しギア比として持つことにした。

フロント変速機はマイクロシフト R539。リア変速機 はマイクロシフト R47。

クランク ストロングライト49D 170mm。チェーンリング ミドル イン TA 36×26 5500 、5000。ペダルは1970年代もののカンパレコード鉄プレート。これら脚まわりのパーツは過去ためてきた在庫からチョイス。

浅麓堂の中堀氏は、常々「パーツから自転車が生える」という独特の表現をするが、いつかはクランク ストロングライト49DとTAチェンリングとカンパレコードペダルを荘厳したツーリング自転車に乗りたいと思っていたので49Dから自転車本体が派生したとも言えなくもない。

ボトムブラケット シマノ BB-UN55 。チェーン シマノ HG71。スプロケット(フリーホイール) 12-26 8s。

スポーク DT チャンピオン 1.8 @65×64本。タイヤ グランボア シプレ 。

ブレーキ本体 シュエット 2632 モダン

シートテールライト KIREI USB LM-016

ハンドルステム トーエイ 70mm ベルは右側。

ハンドルバー 日東 #135ランドナー 420mm

近年の東叡社ではステムキャップの刻印は受け付けてくれないそうなのだが、そこは多少の無理を言わせてもらって、ネーム打刻印。べつに機能性は関係がない部分で、趣味に属する部分。

書物に著者の名を明示するように、自転車にもサイクリストの名を刻む。チンカンベルよりも、とっさのときは、大声で叫ぶのが利く。

シートチューブの裏側のスペースを有効活用し、ぎりぎりの空間<隙>を活用。ななめ左にずらしながらも、このわずかなスペースにポンプを収納する。おそらくは日本に数台もない処理のしかただと思われる。

脚に絡むことなく、BBから上、シートチューブの左後ろの隙にちゃんと収まる。

「隙」を上手に使うのが「数寄」だろう。数寄者は数寄モノを好む?

チューブ ヴィットリア @800×2。細かなところで、リムフラップは DEDAをチョイス。

玄さんシールが可愛らしい。

 

 

サドル BROOKS チームプロ。皮サドルは乗り込むと同時になじんでオンリーワンサドルに時の経過とともに変身してゆく。

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ブルックスのカンビウムC17もぼちぼち試してみたい。

玄さん、いろいろなわがままを聞いてもらって、ありがとうございました。一生懸命走って、このかけがえのないツーリング自転車に磨きを掛けます(笑)!

700cツーリング自転車が完成まじかorマジカ?!

カテゴリー : 自転車ツーリング

自転車バカの3年越しの計画が着実に進捗中。

700cツーリング自転車を長年憧れていた(極端な片思い)Bicycle Shop玄さんに意を決して、オーダーしたのが一昨年。東叡社製ランドナー、ツーリング自転車のオーダーメードでは右に出る人物はいない。

吉澤 玄三師匠。

ここ数年、東叡社の作業待ち期間は2年弱だ。待ちに待ったフレームがいよいよ出来上がって、師匠によって部品が丁寧に取り付けられつつある。

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自転車は創発的な道具だと思う。サイクリングは自分のペースでソロで楽しむのが基本だ。自分でプランニングし、好きな処へ、好きな時に、好きなように走って移動する。そのためには自分だけのための道具が必要となる。

もっとも身近で素朴な、テクノロジーによる人間能力の拡張(human augmentation)。自転車は、前に進む、曲がる、止まるという素朴な機能を拡張してくれる。キャリアを装着して各種ザックにキャンプ道具を積み込めば、自力で遠くに行けて野外生活もできる。

ガソリンで駆動するクルマのように環境に負荷をかけない。自動車の社会的コストに比べれば、はるかに少ない。同じ遊ぶなら、クルマに乗って遊ぶよりも自転車に乗って遊ぶ方が、地球生態系のために優しいのだ。

その道具がオーダーメイド・ツーリング自転車。自分の走りにあわせて、好きなようにオーダーする。でも専門家たる工房主の知見、アドバイスは必須。

ツーリング用の現行部品をアッセンブルの基本として、チェンリング、クランク、ペダルなどはガレージの在庫をひっくり返して取り付けることにした。時代考証とかビンテージ趣味などのアナクロニズム趣味もいいものだが、あくまでファンクショナリティを基本構想に据えた。

日帰りでは200km位を高速スポルティーフのように巡航し、手持ちの大型Fバッグと大型パニアバッグを取り付ければ、キャンピング・ツーリング自転車となる。飛行機輪行が多いので、ブレーキワイヤー上ぬきでフォーク抜き輪行仕様とした。

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フィレット仕上げ、正確にはフィレットブレイズと呼ばれるこの工法。接合部に真鍮ロウを盛り、整形し仕上げてもらった。溶接ビードが一切なく、滑らかな仕上がりになることがその特徴。

ただし、美しい仕上がりとするためには高い技術力が必要だ。スチールに関する経験やノウハウを絶やさず継承し高め続けた東叡社ならでは。

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インフレ-タの格納場所はシートチューブの左横後ろという変則の美学。グランボアのセンタープルブレーキ「シューレットモダン」。

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センタープル用フロントキャリアとパニアバッグ用のリアキャリア。スッキリした形状のパニアラックだが、オーストリッチの特大パニアバック左右で84リッターも収納できるので、昔の4サイドバックを全部詰め込むよりも多くの容量を収納できる。

東叡社特性ラグなしのクロームモリブデン鋼ステム。突出しは自分としては短めにしてもらった。

本所の泥除けは亀甲型。サービス・サイエンスのレンズで考えてみる。腕利きのオーダーメード自転車の工房主と、オンリーワンのニーズを持つ発注者=クライアントは対話=インタラクションを通して価値共創する。最終的にはチャリンコというモノ的なシステムに結実するのだが、そこに至る過程はサービスそのもの。

ラグなしのフィレット仕上げのフレーム、とくにヘッドチューブ周りは端正にしてスッキリと美しい仕上がり。

ヘッド回り。この角度からの風景がいい。

キムラ製テールランプはアルミ削り出しの逸品。亀甲パターンの泥除けには端正ながらもツーリング自転車に似合う質感がある。リアスプロケットは8段(12-13-15-17-19-21-23-25)

足回りはI’s Bicycleの土屋さんが、念を籠めて作っているパーツをふんだんにチョイス。ハブはグランボアLFQR130mm。リムはグランボアパピヨン32穴。スポーク プレーン#15(1.8mm)タイヤはグランボアシプレ。

ペダルは堅牢なカンパの鉄プレートを手持ちの在庫からチョイス。近年青色のストラップバンドはとんと見かけない。ことろが、玄さんの秘密在庫からTOEIのストラップバンドが出てきたので、フレームの色に合わせて選択。

ラッキー。

チェンリングは手持ちのTAシクロツーリスト。47-36T。これに26Tを足してトリプル仕様。ロー側は北海道の舗装道路ではめったなことでは使わないものの、急峻な林道の登りに対応するためトリプルに。クランクは手持ちの在庫からストロングライト49Dをチョイス。

印税が自転車に化けた。

南八ヶ岳清里高原

カテゴリー : 自転車ツーリング

画像に含まれている可能性があるもの:山、空、屋外、自然

<東沢大橋>

GWは込むので、この季節がいい。

週末、天気が良かったので山荘の掃除などを兼ねて八ケ岳南麓の清里の森へ。

大リノベーションは2年かけて済ませたのだが、昨年の秋に訪れた以来だ。

カメラスポットの東沢大橋。早朝ここまでジョギングで往復。

谷の木々の芽吹きの新緑が淡い。稜線直下はまだ雪が張り付いている。

 

頑丈なトレーラーハウスとはいえ、標高1300mに設置してあるので冬の厳しさはきつい。一冬超えて痛んだ箇所を修理。

画像に含まれている可能性があるもの:空、山、屋外、自然

<茅ケ岳と富士山>

人はまばら、車の交通量も少ない。

富士山、北岳、甲斐駒ケ岳、鳳凰三山(地蔵、薬師、観音の三山)南アルプスの大山塊、南八ツの赤岳、権現岳、三つ頭、奥秩父の金峰山、瑞牆山がくきっり。

近くの美しの森まで小走りで登る。

木道の向こうには権現の稜線が。

画像に含まれている可能性があるもの:空、木、山、植物、屋外、自然

<権現岳>

赤岳。業行者小屋から地蔵尾根を経て赤岳へ、そして真教寺尾根を下って清里まで下りてくるもの面白いかもしれない。

画像に含まれている可能性があるもの:空、山、木、屋外、自然

<甲斐駒ケ岳>

画像に含まれている可能性があるもの:空、木、山、屋外、自然

<赤岳>

新著「医療看護イノベーション」表紙の件

カテゴリー : モノ書き

自動代替テキストはありません。

 新しい著書を汗水垂らしながらやっと出版することができた。この本のなかで最も気に入っているのが表紙の右下の不思議なイラスト。

とある不思議な出会いとご縁がきっかけとなり、この不思議なイラストが新著の表紙を飾ることになった。

その話をちょっと書き残しておこう。

2年前の夏、サイクリスト松下は北海道の然別湖畔でキャンプしていた。千歳、富良野、美瑛を自転車で巡り、層雲峡で自転車を野営場において大雪山を徒歩で駆けまわり、また自転車にまたがって、三国峠、幌鹿峠というけっこうデカい峠を登って下って、やっとの思いで辿り着いたのが然別湖北岸キャンプ場。

馬鹿のひとつ覚えのようにチャリで走りながらも、実は、チャリで無心に走っている時には、思いがけないアイディアが美しい風景のなかから風に乗って突如やってくるのだ。

身体活動にエネルギーを集中させ、言語活動を認知の底に沈め、言語が尽き果てた文脈に「それ」はやってくる。モノカキのアイディアは、言語が尽き果てた身体知の次元からやってくるとは、不思議といえば不思議か。

言葉の境位を越境し、そこに横たわる豊饒な身体知の次元を遊泳することによって、「それ」に遭遇することができるのだ。

「それ」つまり、拙著の構想を練り上げたのは、研究室や書斎の中ではなく、この自転車ツーリングの最中だった。自転車ツーリングは究極のアイディア・ジェネレータなのだ。

画像に含まれている可能性があるもの:山、空、屋外、水

疲れ切って泥のように寝て、起きた、その翌朝、霧が流れる静かな湖面を眺めていると、静謐な湖面を一艘のカヌーが朝霧のなかを静かに進んでいる。その神秘的なカヌーイストは湖岸に上がってくると、実に気さくで親切な人だった。

「いいですね、こんな朝から鏡のような湖面をカヌーで漕ぐなんて。あこがれます」

「よかったら漕ぎませんか?」

「うわぉ! いいんですか!」

ということで然別湖北岸の静謐さをたたえた湖面をカナディアン・カヌーで漕ぐという奇跡の時間を得たのだ。

嬉々として湖面を漕いでいると、カヌーに乗った品のいい美しい女性が声をかけてきた。カヌーを漕ぐ機会を与えてくれたカヌーイスト氏の奥さまだった。

至福のひと時を堪能して陸に上がり、奇跡の湖面の感動と感謝の気持ちをぼくは朴訥ながらもあらん限りの言葉を紡いで夫妻に語った。

その御夫婦とは幸いにもfacebookで繋がった。お子さんを連れた仲睦まじいご夫婦が然別湖の朝まだき、カナディアン・カヌーを静かに漕いでいる。

こんな幸福な風景はない。

自然と家族が調和している。

聞けば奥様は腕利きのイラストレータ。新著の表紙にふさわしいと思い、無理を頼んで、奥様のイラストを拙著の表紙に使わせていただいた。

不思議なご縁を頂いてできた、拙著の不思議な表紙なのだ。不思議にして繊細なイラストの上には「イノベーション」という大きな活字が横たわっている。

自転車、あるいは孤独と自由のためのインバリュアボーな道具

カテゴリー : 自転車ツーリング

年末。今年の北海道自転車ツーリングの記録をアップしていなかったことに気づく。で、レコードを転記したりfacebookの写真をコピペしたりして要点のみまとめてみる。

***

だいたい毎年、春先になると夏の北海道が気になりはじめるのだ。意識の深いところで鬱勃たる長距離キャンピングのライドへの欲求が首をもたげるのだ。

圧倒的な孤独のなかに身を置きたいとういう自閉的な願望の裏側で、開かれた自由に対する渇望がのた打ちまわりはじめるのだ。

北海道の大自然のなかを、たった一人で旅をして、たった一人でテント生活を送るのだ。孤独の中にクローズドに引きこもり、かつ自由に対してはまったくオープンに可能性の地平線をひたすら前進する・・・。

この二律背反を超えたところに顕れる分裂的・スキゾフレニアックで倒錯した渇愛を満たす手段は自転車となる。

そう、二律背反を超えるもの、すなわち、自転車。

ま、これしかないし。

人がなんと言おうと、自転車は孤独と自由を高い次元で止揚しうるインバリュアボーな道具だ。
 
また自由で孤独だからこそ自在に駆使できる道具だ。
 
そう体感できる「道具」があるだけ人生いいじゃん。
 
自転車とは、無限のエネルギーの源泉さ。そこから人生を彩る物語が溢れ出てくる自由の源泉さ。
 
すなわち、自転車に乗って旅するという行為は、畢竟、リベラル・アーツってことだ。
 
図書館や書斎の中で書物に没頭して獲得するリベラルアーツもあれば、原野を風とともに走りぬけ、轍を刻むリベラル・アーツがあっていい。
 
なにかに隷属したり服従するのではなく、自由を得るための、自由を再確認するための方法、手法、技術ってことだ。
 
おれは自転車原理主義者か。たぶんな。
 
                                      

・DAY1  7/15 (水)千歳空港→沙流二風谷→日高  90km テン泊 

この日のために、イザベラ・バードの「日本奥地紀行」を数ヶ月前に読了。いくつか疑問点を二風谷アイヌ文化博物館の学芸員の方に訊ねていろいろ教えてもらう。ためになった。

(日高ファミリーキャンプ場)

・DAY2 7/16(木) 沙流二風谷→日高→日高峠500m→占冠→金山峠 490m→富良野→美瑛 100km
美瑛:ライダーハウス蜂の宿 

(町営のラベンダー園から十勝岳を望む)

・DAY3 7/17(金)   美瑛→上川→層雲峡 100km テン泊

(層雲峡)

・DAY4 7/18(土) 層雲峡→黒岳→間宮岳→旭岳→北海岳→黒岳→層雲峡 自転車はデポ テン泊

(雪渓とお花畑)

エゾノツガザクラ。これを妖精・精霊と呼ばすしてなんという?!

大雪の自然は「アタシ」という、うすら汚い世俗を可憐な高山植物から隔絶している。その無慈悲な断裂にハタと気づき、かろうじてエドノツガザクラを相対化して見ざるを得ないエゴの矮小なことよ。。

いや、待てよ。こういう見方のほうがいいかも。

“If you see yourself in the correct way, you are all as much extraordinary phenomena of nature as trees, clouds, the patterns in running water, the flickering of fire, the arrangement of the stars, and the form of a galaxy. You are all just like that.” ~Alan Watts

 (聖霊の降臨あるいはコマクサ)

高山植物の女王、コマクサ!妖精、精霊が宿る命の結晶のよう。Something greatが大雪のそこかしこに顕現している。コマクサは高山の荒涼たる地に突発するフィーメール的<性>の象徴なのだ。まばゆい。目が眩む。

(層雲峡野営場)

層雲峡野営場では夕方より雨天。雨をしのぐため炊事場に偶然3人のサイクリストが鉢合わせ。これまた偶然か三人ともネパールヒマラヤ体験者。夜遅くまでアウトドアのロマンに盛り上がる。関西からやってきたサイクリスト氏の「静と動の話」には、はっとした。

・DAY5 7/19(日) 層雲峡 600m→三国峠1139m→糠平湖→幌鹿峠1081m→山田温泉→然別湖 80km テン泊

(然別湖北岸キャンプ場)

然別湖北岸の朝まだき。乳白色の朝霧が湖面を愛撫するように流れ、やがて湖面が向こうの山々の稜線を映し出す。静謐で豊饒な時間は、その流れを緩めているようだ。

(親切なカヤック乗りの方と知り合い、カヤックに乗せて貰う。静謐の湖面を舐めるように進む)

自転車もカヤックも、他動詞「漕ぐ」を用いてそれらを対象とする動作を表現する。湖畔で知り合った夫妻のカヤックで早朝の静かに凪いだ湖面に漕ぎ出した。脚で漕いで、腕で漕いで自然からメッセージを全身で受けとめる。

・DAY6 7/20(月)  然別湖→十勝清水→日勝峠1020m→日高 100km テン泊

(タウシュベツ橋梁)

・DAY7 7/21(火)  日高停滞 テン泊

(日高ファミリーキャンプ場)

・DAY8  7/22(水)  日高→二風谷→太平洋→鵡川→千歳 50km ライダーハウスユーカラ泊

(ニュージーランドからやってきたNigelさん)

自転車は人と人とをぐっと近づけてくれる。金山峠の登りでは缶ビール、三国峠ののぼりでは煎餅一袋を道行く見ず知らずのドライバーからもらう。ありがたや。平取温泉では地元のおじちゃんと露天風呂のなかで小1時間も話し込む。ピースサインを交換した無数のライダーさん。そしてそう多くはないがサイクリスト。

この写真はニュージーランドの世界平和自転車アクティビストのNigelさんと。Nigelは自転車に乗って福島を支援している。Kia Kaha!(いっしょにがんばろう)というマオリ語を教えてもらった。

・DAY9 7/23(木) 千歳空港→自宅

(千歳飛行場でチャリを分解、そして輪行)

 

装備リスト

1)自転車
700cランドナー 大型パニアバック
行きは、ジャージの長い黒パンツにTシャツ。サイクリングシューズ。
空気ポンプ改良。

2)ウェア
帽子 昨年秋に求めたもの
上は赤い速乾性シャツ、下はナイロンニッカポッカ。アンダーウェアはパールイズミ。
薄布ニッカポッカ 膝下ゴムストッパー修理済み。
雨具上下
フリース
短パン
綿Tシャツ
ハイソックス
下着2

3)野営装備
テント(日干し済み)
エアマット
コンパクトシュラフ(日干し済み)
ナップザック 大雪の旭岳登山
ヘッドランプ(電池入れ換え)

4)火器+食事
ガスボンベカートリッジ Epiガスは現地調達
コッヘル 
箸、フォーク
備蓄食糧の古くなったもの、乾パン、ビスケット、魚カンヅメ、乾燥コメ、飴など

4)その他
今年は前方はフラッシュライト、後方に赤フラッシュ対応テールランプ
コンパス
予備電池単三6本(携帯充電起用、ライト用)

オーガナイザー(紙幣、コイン、運転免許証、クレジットカード、携帯電話)
携帯電話用蓄電池キット
その他
虫除け
日焼け止め
保険証

 (友人が作ってくれた工具袋を携行した)
 
まとめ
6つの峠を攻めまくった。総じて非常により走りができた。①日高峠、②金山峠はそれぞれ一本でクリア。2003年には層雲境でバテていたが、今回は実になんともなかった。層雲境野営場をベースキャンプにして大雪の旭岳を往復。これは圧巻だった。③三国峠はターミナルから一本で完走。その後、④幌鹿峠、然別湖、⑤白樺峠へ。⑥日勝峠は酷暑のヒルクライム。麓の十勝清水で陽がかたむくまで2時間半ぶらぶら。5時頃ピークアウト、下りがやたらに長かった。日高に着いたのは7時過ぎ。日高で雨に遭い蓄積疲労もあったため予備日を使って日高沙流川キャンプ場に連泊。
 

今回は、野宿場所として①温泉が近く、②コンビニも近い、③キャンプ場orライハ。ライドの後の温泉は大変よい。冷泉には毎日入った。冷泉は日焼けした皮膚を鎮めてくれるという効果のほか、ミトコンドリアを増やすという効果がある。ライド中は朝飯は食パントースト3枚にほっとカフェオレ。

午前中は行動食として、残った食パン3枚くらいを食べ、適宜野菜の買い食い。ハムストリングなどを柔らかくする前屈ストレッチングは朝、昼、晩行った。その結果、前屈で手のひら半分が床につくようになった。

総じてハードな自転車ツーリングに耐えうる体力レベルは上がっている。今回のライドによっても健康レベルは上がった。おそらくは過去15年中最高レベルだろう。今後はリバウンドに気をつけて、ランニング、断食&食養、サイクリングの3点セットを推し進めてゆきたい。

反省点など。
あったほうが良い装備:
・リアマッドガード、最終日とその前日は雨に降られ雨天走行。リアのドロヨケがなかったため、だいぶ汚れた。早々に原に連絡すること。
・ラン以外のキャンプ場で用いる軽量のサンダル。
・洗濯ヒモと洗濯ばさみ。少量の洗濯洗剤。
・層雲境の手前でサングラスを忘れる。自転車に乗り始めるときは入念なチェックが必要。フロントバックにチェックリストを入れるか?!
下着アンダーウェアは10日ほどのツーリングならば2枚で充分。ライド中は、ライド専用アンダーウェア。風呂に入ってから寝て、朝起きるまでの綿パンツ1枚。帰りようの綿パンツ1枚でOK.
・ダイナモバッテリーは一切使わず。ナショナルのLEDランプは秀逸。ゴムひもでテントの内側にかけてランタンとしても使える。
・軽く広い角度にわたって照射できたり、狭い範囲でと遠くまで届くヘッドランプはあったほうがよい。
・せっかく大雪山の山岳地図を買ったのに家に置き忘れた。層雲峡で忘れたことに気づく。やれやれ。ビジターセンターで標準コースタイム付きの概念図をもらい、立体パノラマとにらめっこして山容を記憶して登った。
・帰りの飛行機で輪行袋の袋を紛失。ジェットスターは安いが、サービスの質はイマイチ。

 

 

自転車工具の話

カテゴリー : 自転車ツーリング

ちょっと前に、親切で小細工の才能豊かな友人が自転車工具袋を作ってくれた。

この頑丈な工具袋には、自転車ツーリングの現場に必要なすべての工具が納まった。というか、すべて収まるようにデザインして、縫製加工してくれた。実にありがたいものだ。

さて、自転車ツーリングの現場は、旅という複雑なシステムのフォアフロントだ。そのフォアフロントでは、ソフトな人間つまりサイクリストが自転車というハードなシステムを駆使して雨風の中走ったり、千差万別の自然条件のなかで野営したりする。

すると、けっこうトラブルに見舞われることとなる。パンクはもちろんのこと、バースト、各種駆動部のガタ、ダボネジの緩み、マッドガードの破損、スポーク折れ、などなど。

深刻なトラブルに陥ったり遭遇したりする前にいち早く発見して、メインテナンスしたり修理することがポイントだ。地道にコツコツやるしかないのだが、工夫していることが3つほどある。

①走行中の自転車が発する様々な「微妙な音」を聞き分けて自転車の異常を察知する。②輪行して分解する時、組み立てる時に細部まで目を光らせ、こまめに修理・メインテナンスや注油をしておく。③長いダウンヒルを下る前の峠では、ネジなどの緩みなどを重点的にチェックする。

そうすれば、なんとかなる。その、なんとかなる状況を創り出す有用な手段が工具だ。多すぎず必要最低限のアイテムと重量に留めおく。もっとも、自転車以外にもテント、バーナー、ランプなどキャンピング用の生活系資材の修理にもペンチを筆頭に工具は力を発揮する。

かように工具一式は自転車旅行にとって切っても切り離せない相棒なのだ。

北海道自転車ツーリング2014

カテゴリー : 自転車ツーリング

 

(日高の海岸にて)

札幌市立大学で講義する日程に合わせて、なんとかスケジュールをヤリクリして、自転車で北海道の僻地を800kmほど約1週間すべてテント泊で走ってきた。

今回は、北海道の僻地の保健・医療・福祉サービスが、人口の高齢化・減少によってどのような影響を受けているのか、そして、地域を支える再生可能エネルギーへの転換がどのように進んでいるのか、といったことを調べることにした。

その詳細は連載をしている日経BizGateの記事「老いゆく日本、先行する過疎地の知恵に活路~自転車に乗って北海道の過疎地をフィールド調査」でまとめてみた。

連載記事は事実に基づいた分析だが、ここでは、ルートに沿って去来した心象風景などを思うままにツラツラ書いてみよう。

***

今年は、アルプスのランドナー(昨年小樽市内で事故によってトップフレームのシートポスト横に皺)に代わって、TOEIの700cキャンピングが相棒だ。 

全行程約800キロメートル、宿泊はすべてテントと寝袋で済ませ、食糧は基本自炊で済ませ、行動食は買い食いとした。

ここ10年くらい北海道自転車ツーリングといえば75リッター大容量のオーストリッチ・パニアバックが相棒だ。すべてキャンピング装備が入ってしまうのがいい。

(日高のサラブレッド牧場) 

 

                                     ***

DAY1(7/2):千歳空港→新冠→DAY2(7/3):様似→アポイ岳→アポイファミリーキャンプ場→DAY3(7/4):襟裳岬→広尾→大樹町→忠類(道の駅忠類)→DAY4(7/5):帯広→士幌→上士幌→糠平湖(国設糠平野営場)→DAY5(7/6):三国峠→大雪湖→石北峠→留辺蕊(つつじ公園キャンプ場)→DAY6(7/7):チミケップ湖→津別(21世紀の森キャンプ場)→:DAY7(7/8)美幌→美幌峠→屈斜路湖砂湯(砂湯キャンプ場)→DAY8(7/9):藻琴峠→小清水峠→網走。

今年のルートは、新千歳空港から太平洋を右手に見ながら東南へ南下し襟裳岬を経て十勝平野を北上し、大雪山系の1000m以上の峠、三国峠と石北峠をやっつけてオホーツクの網走に向かうというものだ。

DAY1:千歳空港→新冠(サラブレッド銀座駐車公園)

新冠のレコードの湯のオジサンに聞くと、テントを張るならこの公園がいいよ、と紹介される。ありがたし。サラブレッド銀座駐車公園の設備は豪華。トイレ、休憩室、洗面室、観光用の資料閲覧室までついている。雨が降ってきたときなど避難場所としては最適だろう。芝生の上にテントを張って一泊。

DAY2:午前中70km走り、昼に様似のアポイ岳山麓(アポイ山麓ファミリーパーク)到着。

自転車を麓にデポして20分休憩してから、アポイ山へアプローチ。アポイ岳ビジターセンターの美人で親切なスタッフの方からルートの概要を聞く。登り3時間、下り2時間。今年はサイクリングシューズのビンディング用の鉄プレートをはずして、昔ながらのトークリップ。なので、アポイ山くらいの山ならなんとか、サイクリングシューズでも登れる。

アポイ山はカンラン石があらゆるところに露出している。そして、森林限界を超えてハイマツ帯になってから、頂上はなぜかダケカンバに覆われているという、ありえない摩訶不思議な山。通常の山の植生はこの逆なのだ。このありえないアポイ山の植生については学術的にもまだ解明されていないという。

たしかに、この山の気は清廉かつディープ。深い森林を潜り抜け、岩清水を飲み、ちょっとガスがかかった太平洋を望むマインドフルな山行。

Photo: 新冠から様似まで70kmひとっ走り。登山口まで走りアポイ岳へ。ジオパークとして世界中の注目が集まる一帯。

 (アポイ山のピーク付近から)

DAY3:3日目の襟裳岬を挟んだ20kmはきつかった。強烈な向かい風で疲労困憊。10パーセントくらいの坂道でかつ強烈な向かい風。

こういう日は、ムリしてpositive mindになることはないんじゃないの?

風を思いっきり呪うにかぎるのだ。

風のバカ!

自転車を降りて押すハメに。たかが丘陵地帯の坂で自転車を押すのは、屈辱的な感じだが、まあしょうがない。

あまりに強い向かい風にフロントバックの蓋がガバッと開いてしまい、行動食のビスケットが数枚風に飛ばされた。それを見ていたカラスが目ざとく飛んできて、道路を勢いよく転がるビスケットをつまんで飛んでいった。

クソ、カラスめ!バカ!

Photo: 強烈な向かい風でチャリを押す。3年前時計回りで走った時は楽勝だったのに。

(襟裳岬、疲れた)

鉛色の海。

冷たい雨。

強烈な逆風。

サイクリストの気持ちを心底暗くする3点セットだ・・・・。

こういう時はメンタルも湿ってきて暗くなりがち。なので、風除けのために転がり込んだバス停のボックスのなかでfacebookで友人たちに愚痴りながらなんとかモチベーションを維持。とほほ。

幸い、広尾から大樹あたりで雨も止み、スピードに乗ってきた。襟裳岬のレストランのおじさんが、コスモール大樹に併設されているタタミの部屋に泊まれるという話をしてくれた。ただし、ここで畳の上に寝るのは気が引ける。

夕刻が迫っていたが、1時間も走れば忠類なので、20分ほど休憩してひたすら走る。

Photo: 忠類のキャンプ場。あたりいったい芋の花の白い絨毯。風がほの甘い。

(忠類の道の駅)

ここ、忠類の道の駅にはナウマン公園キャンプ場という綺麗なキャンプ場が併設されている。料金はタダというのがうれしい。忠類の道の駅は、温泉、レストラン、キャンプ場が実に充実している。道内の数ある道の駅と比べても屈指の充実度ではないか。オススメである。冷え切った体をナウマン温泉で温める。

極楽、極楽~。

そして、テントにもぐりこみ、寝袋の中の人となる。

幸せとは、1日の走りを終えたあとの、雨風にバタつかない静かで乾いたテントの中にある、と言ってもあながちハズレではないだろう。

自転車ツーリングでは、こうした小さな幸せをたくさん拾い集めることができるのだ。

DAY4:4日目は、帯広を経て、上士幌へ、そして糠平湖へ。幸い天気はよく、風向きも悪くない。道の駅なかさつないで休憩しいていると、一人の初老サイクリストに遭遇。訊けばその74歳は、四国の高松から単独でずっと自転車キャンピングで旅をしているという。

すごっ!脱帽。

スーパーヘルシー初老サイクリストよ。こういう人と出会うとリアルな目標ができるからいい。お互いの健闘を讃えあい、硬く握手をする。

大正カニの家。一度は泊まってみたい町営の無料のライダーハウスだ。豪華ログハウスに内部にはベッドやシャワーがついている。

時刻も早かったので見学だけにする。すると、中からチャリダーさんやライダーさんが同族の臭いをかぎとったのか、ぞろぞろ出てきて、旅の四方山話を小一時間ほど。

プータロー君や学生さん。放浪者の系譜に連なる若者と話をするのはとても楽しいものだ。

オススメのキャンプ場、道の駅、道路の状況など、けっこう貴重な情報をシェアできるので、こういう四方山話は実に有益だ。

伸びやかな十勝平野の広がりの中、一つの小さな点となって、ひたすら北上。帯広駅あたりで昼になったので、ちょっと贅沢をして、ブタドン専門店のぱんちょうでブタドンにありつく。

国設糠平野営場へ着いたのが、5時過ぎだったので、係の人がキャンプ料金を取りに来なかった。北海道のゆるいキャンプ場ではよくあることだ。小さなラッキーか。

夕刻、管理棟の脇で座っていたら、キャンパーの人から「管理人さん、すみませ~ん」と声を掛けられた。真っ黒い顔で、使い古しのヤッケなどを着ていたのでたぶんそう見えたのだろう。

DAY5:5日目。広大な樹海を眼下に望む。走ってきた道を見下ろすというのも格別だ。三国峠登りはお花畑のなかを進む。

Hironobu Matsushita's photo.

(糠平湖の上のほう、タウシュベツ川橋梁)

熊がでるということで、一般車両は特別の許可を得ないと、タウシュベツ川橋梁まではいけない。残念ながら、対岸から遠望する。

Photo: 三国峠登りはお花畑のなかを進む。コズミック・ダンス。

 (三国峠への登り)

 ここには、にわかには信じられない風景が沿道に広がっている。

アスファルトの道のすぐ横が色とりどりのお花畑になっているのだ。

清廉な風が花々を揺らす。

風にそよぐ花々の祝福を受けながら、走っているかのよう。

至福の空間だ。

 

Photo: 1139m三国峠。雄大な原生林が眼下に拡がり雪渓をいただいたニペソツ山がすぐそこに。大雪湖まで下り石北峠の登りへと。

(三国峠にて)

 命の乱舞、命のフロー。

その圧倒的な空間を、登高感へのあくなき欲求を満たしつつも、はやる気持ちを抑えつつ、ダンシングしながら登ってゆく。風に揺れる花々もcosmic danceに余念がない。

風を背中に受けながら花々といっしょにcosmic danceだよ。

宇宙の鼓動に寄り添い、霊妙な鼓動を感じるままのcosmic danceだよ。

Caringだよ。

(大雪の山々)

「そう、私は風・・・・」

こんな詩のような言葉を言い残して亡くなった大学のサイクリングクラブのK田先輩の言葉をふと思い出す。その言葉を引き継いだ、今は亡きM山という後輩のことも思い出した。

「そう、私は風・・・・」か。

二人ともN経済新聞で働いていた。二人とも新聞社で働くくらいだから、言葉に対する感性も人一倍豊かだったのだろう。いろいろな縁でつながり、今、この新聞社のweb版にコラムを書いている。

しんみり。

二人とも三国峠を登ったことがあるはずだ。

二人のためにできることは、風になることか、「いまここ」の想念を彼らに送りとどけ、共有することなのか。

こういう時の秘密の言葉(マントラ)は;

 

Be here now! 

 

 

この呪文を口づさむと、襟裳岬で呪った風も、天使の囁きを語りはじめるのだ。

いまここは

自由

いまここに不自由を感じるのなら

それは自分の魂が

自分を不自由にしているのさ

不自由になるのも自由なら

自由になるのも自由

峠からのダウンヒルは、すべてを忘れ、甘美な囁きを聞きながら、風になってしまう貴重な時間だ。

K田さん、M山君、スミマセン、アタシはこの世で今日も自転車に乗って一生懸命走っています(笑)!

そう風の中で念ずると、満面の笑みを湛えた二人の顔が、前方の空の中にふっと浮かんで消えていった。

 山に上、下と書いて、「峠」と読む。

山を自転車で登り、下るという営為は、サイクリストに変性意識のピーク、つまり、「峠」をもたらすのだろう。

結局この日は調子がよく、三国峠、石北峠の2つの大きな峠を充実した走りでクリアーすることができた。

夜は無料のつつじ公園キャンプ場でテントを張る。すぐそこに大家本家ホテルという立派なホテルの温泉に浸かりに行く。ここの温泉はなんでも疲労回復やアンチエイジング効果抜群ということで、非常に高品質だ。温泉に浸かって芯からリラックス。この日越えた2つの1000m以上の峠登りの疲れもぶっ飛んだ。

夜、難関とされる国際学術誌から論文採択決定のメールが来る。ラッキーの一言だ。変性意識に入ってリラックスするとラッキーなことが起こるのか?いい繋がりは、いい場にやってくるのか?

 DAY6:6日目は、オンネ湯温泉のつつじ公園キャンプ場から、まずは、チミケップ湖を目指す。まとまった林道をキャンピング装備の自転車で走るのは本当に久しぶりだ。

(チミケップ湖へ続く林道)

国道ならまだしも、山間僻地の林道をキャンピングフル装備で走るというのはけっこう体力がいる。でも、こうして重い装備にも耐えて走ることができているのだから、よしとしよう。

体重が減ってかつスタミナが付いたので、この10年間で最も体力的には充実している。サイクリング、ランニング、断食(朝食ぬきの小食の習慣)をベースにて組み立てている健康法の効果だ。

北海道では、流石に早朝からがんがん走ったので、ちょっと言い訳くさいが、朝食は「行動食」としてとった。

Photo: 40km石北本線沿いをオホーツク方面へと走り、その後林道494号線を約30km走り抜けて秘境チミケップ湖へ。観光地とは隔絶した静かな湖面。

(チミケップ湖)

静謐な湖面を湛えるチミケップ湖。

三国峠あたりから変性意識にシフトしてきているので、いろんなモノが見えるのだ。正確に言うと、アジュナーチャクラがある眉間のあたりで、そこはかとなく感じると見えるの境界領域で認識するようになるのだ。

コロボックル・・・。

精霊・・・。

自然のスピリット・・・。

 

チミケップ湖から津別の町への林道も長かった。今日の宿は、津別の21世紀の森キャンプ場だ。だだっ広いキャンプ場だが、人っ子一人いない。銭湯に入りに町に出てみたがあいにくの休み。

この街で、しばし道ゆく人に話を聞いたりしてフィールドワークを行う。それからテントに帰り、ビールを飲み、農家の方にいただいた葱を刻んでコッヘルのラーメンにぶち込み特上ネギラーメンの出来上がり。

DAY7:翌日の美幌の馬鈴薯畑は白い芋の花が満開。

満開の花の香りが甘い。

静かに、静かに、白くて甘い風景の中を走る。

空の青、馬鈴薯の花の白、森の緑。

単純明快にして清楚な情景のなかは、シンプルに走るに限る。

Hironobu Matsushita's photo.

(美幌の馬鈴薯畑)

 

Photo: コタンの無料露天風呂から屈斜路湖へと泳ぎだす。昨日は湖畔でキャンプ。淡い夕日が湖面に眩いばかり。

(屈斜路湖砂湯)

 屈斜路は毎回通り過ぎるだけだったが、今年は湖畔でテン泊することに。湖畔には温泉が湧いている。綺麗な夕日を見ながらコンロでラーメンを調理。

自転車はいくつかの点で理想的な運動だ。

まず第1に、理想的な有酸素運動であるということ。大量の酸素を長時間に渡って摂取し体内に循環させ、大量の熱量を消費する。

第2に、山歩きやランニングとは異なり、膝や踝に対して瞬間的に大きな負荷を受けることが少ない。つまり、テクニックさえ覚えれば故障しにくい運動なのである。

第3に、リズミカルなペダリングと呼吸によって、意識はハイな状態になる。すなわち、βエンドルフィンなど脳内の神経伝達物質の分泌が盛んになり、よりマインドフルになり変性意識がもたらされるのである。これにより、高揚感、多幸感、変性意識の活性化、モチベーションアップ、集中力アップなどがもたらされるのだ。

(美幌峠)

いつ来てもこの伸びやかな風景はいいものだ。

DAY8:8日目。屈斜路湖から、小清水峠、さらに、その上の藻琴山直下の標高750mほどの峠を越えてガンガン下ってゆくとオホーツクの青い海原が目に沁みる。

 やがて道は網走へと。

 なにはともわれ、800km走り終えた。

 

Photo: 1週間800km、全日テント泊網走駅到着、ゴール達成!札幌へ移動そして講義。よく走ったなあ。ギアチェンジだ。

(ゴールの網走駅)

網走では、印旛沼サイクリングロードでちょくちょくご一緒しているサイクリストO橋さんとうれしい再会を果たした。

O橋さんはサイクリストだ。たしか会社勤めをしながら40歳の後半くらいから本格的にサイクリングを初め、定年退職後も一貫して夏は北海道自転車ツーリングという御仁。

昨年アキレス腱断裂から見事に復帰し、今回2年ぶりの北海道だ。O橋さんとは自転車のかえっこをしたり、古い部品をいただいたりと常日頃大変お世話になっている。

 

Hironobu Matsushita's photo.

(網走のライダーハウスランプの宿にて)

自転車に乗れないサイクリストの哀しみは、イタいほどわかるのだ。そして、自転車で自由自在に北海道を走るサイクリストの歓びも、同様にイタいほど分かるのだ。

O橋さんは、日本海側の留萌からスタートし宗谷岬を経て、オホーツク海を左に見ながら、延々と走り続け、網走へと。ぼくは先にも書いたように、宗谷岬と反対側の襟裳岬を経て、十勝平野を突っ切り、大雪の山を越えて網走へと辿り着いた。

友あり、遠方より来る。

じゃなくて、

友あり、遠方で邂逅す。

酒を酌み交わし、お互いのルート、経験したこと、たわいもないことをひたすら語り合う。お互い数百キロを走ってきて、予定された時刻に、予定された場所で合流するというのは、なかなかできるものではない。

まさに僥倖だ。

この日は、ささやかながらこの旅最高の贅沢をした。

「ランプの宿」という屋根の下の畳じきのライダーハウスにと泊まったのだ。

素泊まりで800円!

たった800円のオンボロのランダーハウスだけと、テントと寝袋だけで一週間走ってきた身にとっては贅沢。

こちら側のボトムラインの貧乏アウトドア生活を続けていると、あちら側=都市生活に帰ってから、すべてもモノゴトがとほうもない贅沢になってしまう。

「幸せってなんなんでしょうね?」

「自転車に乗って旅することでしょうかね」

「同感。自転車のない人生なんかありえない」

「でもぼくら、自転車を離れて街にも棲まなきゃならんわね」

「そういう時は、自転車の感覚で棲めばいいんだよな」

「というと?」

「自転車に乗っていると、幸せの閾値がどんどん低くなってくる。その感覚で街に棲めばいいんだよね」

・・・電車に乗る。

・・・友人たちと飲みに行く。

・・・家族で食卓を囲む。

・・・静かな書斎で本を読む。

・・・好きな文章を紡ぐ。

・・・冷蔵庫の製氷室から氷を取り出しアイスコーヒーにしてを飲む。

本当になにげないことだが、これらはすべて本来このうえもない贅沢なのだ。ただし、都市文明の恩恵に無自覚的に浴していると、この贅沢さが分からなくなってしまう。

そこで、貧乏旅行をやって、幸せの閾値を下げてあげれば、都市での日常生活がいかに幸せの可能性に満ち満ちたものかが分かるというのだ。

なるほど。

たしかに、幸福とはとりとめもなく、主観的なものだ。でも、人は幸福になりたいがゆえに、いろんなモノコトを求める。求めるのをやめて、力を抜いて、求めなくする。その代わり、自分なりのハピネスの種を身の回りのちっちゃなモノゴトの中に見つけてゆく・・・。

ようは、自分の「意識のスペクトラム」を拡げて、マインドフルになってゆくのも、遠回りのようでけっこう幸せ感覚が近くなる。

この行きかたはある意味断食にも繋がってくる。

贅沢からいったん離れて、貧乏なアウトドア生活しながらマインドフルになってみる。そしてそのマインドフルな状況で真の贅沢を知る。そこを媒介するのが自転車貧乏旅行なのかもしれないね。

O橋さんと話をしていると、こんな話によくなるのだ。

***

さて、自転車を離れて、これから再順応してゆく都市生活。

都市での職業生活に還ってからも贅沢を忘れずにそれなりにサバイブしなければ・・・汗)。

こんなことをツラツラ考えながら、自転車を網走のライダーハウス「ランプの宿」にデポして札幌まで電車で移動して札幌の大学で授業をしたのであった。

キャンピング道具の整理整頓!

カテゴリー : よもやま話、雑談

このところ、ランニングをトレーニングメニューにとりいれて毎朝走っている。

来月にはハーフマラソンの出走が内定していて、せっせと走っておかなければ当日キツイことになるのは目に見えているのだ。

なので、ここ2カ月はランニングで毎月120-140kmのペース。自転車では、1日の距離だが、どっこい、今の自分の走力ではそうもいかない。

また夏になったら北海道を自転車で走る。ランニングをやってみて、本当に自転車のありがたみがジーンと分かるのだ。

だって、距離がグングン伸びて、ランニングほどは疲れないからだ。

だから、ランニングは自転車ツーリングにとっても、よいトレーニングになることだろう。

というわけで、去年の夏、酷使したキャンプ道具一式をメンテナンスしてみた。

夏の到来が楽しみだ。

 

年末あれこれ

カテゴリー : デザイン思考

(年末、書斎におさまった我がアルプス号)

師走。

やっと年内の授業、招待講演、学会発表、コラムなどの仕事が一段落して、書斎の5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)を敢行し、自転車を整備した。とはいえ、まだヘビーな英文原稿(ある本の1章分)が1本あり、これは1月始めあたりまでにゴリゴリやって仕上げたい。

さて、2012年は、日本国内では客員教授をつとめている札幌市立大学看護学研究科がある札幌から、医療マネジメント学会が開かれた九州佐世保まで、いろいろ動き回った年だった。

もっとも、招待講演に呼ばれるのは、以前から医療・保健・看護サービスマネジメント関係のテーマが多く、今年も例年と同じようなパターンだったと言える。ヘルスケア関係では、中央アフリカのコンゴ民主共和国まではるばる出かけて行って保健省の関係者の方々にお話をさせていただいたのが、最遠だ。

MOT(技術経営)関係の講演(もちろん授業は除く)は5回ほど。ヘルスケアは25回あった。単純にいえば、製造業を中心とする技術経営系よりも、医療・保健・看護サービスマネジメント系のほうが、ヒキがいい。世の中のニーズと自分の問題解決提案能力が重なる部分の面積において後者は前者の5倍ってことになる。

専門家のハシクレとして、専門的なウンチク、ノウハウが世の中のお役に立てることができるのならば、よほどスケジュールにムリがない限り対応したいものだ。

技術経営系のニーズよりは、医療・保健・看護サービスマネジメント関係のニーズのほうが5倍もあるとしたら、ここは、後者にさらに力点を置いて、問題解決提案能力にミガキをかけるのが、定石だ。戦略論を引っ張ってこれば、それが、比較優位(comparative advantage)。

ざっくり言えば、マネジメント(まさにブログのタイトル)のレバレッジ(テコ)をあてがう先として、ものつくり系の技術なのか、医療・保健・看護・福祉・介護系のものことつくり系サービスなのかっていう問題でもある。

選択と集中。

「あれもこれも」から、「あれかこれか」

(ランニングコースは黄金のカーペット・・)

・・・ということで、2013年は医療・保健・看護サービスマネジメント系の研究、教育により注力したいものだ。そして、これらのワーク系をアウトドア系のアクティビティいかに臨機応変にむすびつけてゆくのか?という発展的なテーマがある。

この発展的なテーマのほうが、じつは楽しいし、真剣にもなれるのだ。しょせん、仕事は手段であって、目的は高次元のアソビのほうが自分の性にあってるってことか・・・。

ワークとホビーの融合的・統合的デザイン思考を拡げてみると・・・・

その1:北海道自転車キャンピングツーリング

 札幌市立大学の集中講座とからめて企画!来年は道南か。

その2:イタリア半島縦断自転車ツーリング

 とある国際学会にからめて画策中。でもアブストラクト、フルペーパーなどハードルは高い。まずは手堅くいきたい。

その3:ニュージーランド自転車ツーリング、アウトドア

 息子の交換留学とからめて実現できれば面白そうだ。

その4:ランニング

 最低限、早稲田駅伝には出走する。できればハーフ、フルマラソンも!

その5:インド自転車旅行

 昔からの仲間を焚きつけてなんとかやりたいものだ。来年というより、中期的なプランだ。

その6:清里山荘リノベーション

 標高1300mにある山荘をリノベートして秘密基地のグレードアップ画策中。

             ***

年末年始にかけて、時間がつくれるので、そのあたりのことを純粋に、不純(笑)にじっくり考えてアクション・プランを立ててみたいのだ。。

 

創部50周年記念パーティは男だけの世界・・・

カテゴリー : 自転車ツーリング

学部時代にメンバーだったサイクリングクラブの創設50周年記念パーティーに行ってきた。総勢200名の大パーティである。(当日参加者によるブログ、その1その2その3

1962年に創設されたクラブなので、年配の卒業生はすでに70才を越えている。

なんやかんやで毎年会っているOBもいれば、なんと卒業以来初めて逢った先輩、後輩もポツリポツリ。

いまどきの大学には男だけの部やクラブはほとんどない。だが、このクラブは会則で「女人禁制」を半世紀にわたって断固規定しているのである。それにしても、こうも老若男衆が集まると壮観の一言だ。まあ、見方によっては、キモイ奴ら、変態、パターナリスティック集団、能天気なジェンダーブラインドgender blind・・・と紙一重なのかもしれないのだが。。

さて、いっしょにインドとネパールを走って苦楽をともにしたフンケーの友HやT大学教授のEとも、うれしい再開を果たした。面白いもので、インドやネパールの珍道中の話になると、まさに話は尽きないのだ。

・・・ということで、このクラブは、今だに自転車に乗って走り続けているオレとしては原点みたいなものだ。大学そのものへの帰属意識は希薄なものの、かろうじて、この希有な仲間たちとの強固な絆、連帯意識、共有する記憶、そして、こうして垣間見る「いま、ここ」が媒介となって、大学との抽象的な一体感が、明確な輪郭をともなって具体的に立ち現れるのだ。

なので、仲間と再会して酒を飲んで、校歌だの、応援歌を歌うのは、ちょいカッコよく言えば、

原点に帰る・・・。

帰巣する・・・。

また、前を向いて走る・・・。

っていう感じだ。

                  ***

この男だけのクラブを作り、半世紀の歴史を刻むにいたらせしめた、初代の大OB氏と、なんとパーティーの直後にfacebookで繋がった。ああ、この人、なかりせば、すべてなし・・・。仕事を引退してからも、秋田でage friendly city化の運動を行っているという。

                  ***

さて、この集まりで大いに語らい、三つのアイディアを得た。

①ランニング

2年上の昔からお世話になってきたY先輩が、このところ、トライアスロン、マラソン、山岳マラソン、トレールランで目を見張るパフォーマンスを顕現させている。そのY氏より、直々に練習方法の伝授にあずかり、オレは来年、クラブOBによる駅伝に参加することになった。この目標は悪くない。自転車ツーリング、半日~一日断食減量プログラムと相乗効果が生まれるだろう。

②インドを自転車で再走する

「おい、あと数年後に、またインドを走ろうぜ!」ということになった。根も葉もないような話なのだが、たぶん、これは現実化するだろう。なぜなら、○○年前、「おい、インド行こうぜ」のたった一言から、我々のインド・ネパールの自転車冒険旅行は現実化したからだ。あのとき、そうなったのだから、今回もそうなるだろう。1-2カ月、昔インドネパールを走った男たちが、また自転車を蹴って走る・・・。いいなあ!

③昔からの仲間は大事なのだ

コミュニティのあり方について日ごろ考えているのだが、家族でもなく、職場でもない、地域でもないコミュニティはそうそうあるものではない。共同記憶(幻想)を追認して温めるだけの同窓会ではなく、複数世代が参与するコミュニティとして、大学の部やクラブのOB/OG会というのは、ある意味、大事な存在なのではないか。いずれにせよ、昔からの仲間ってのは、お互いを見つめ直す「鏡」のようなものなのかもしれない。しかも、時がたつにつれて、輝きを増す「鏡」。大切にしたいと思う。

ゴアテックス・ギアのコスパ

カテゴリー : 自転車ツーリング

自転車、登山などのアウトドア活動を行うに当たって最も大事なウェアはなにか?

雨具だと思う。

なぜなら、嵐、雨天に遭遇して体温が低下すると死に直結するからだ。死というクリティカルな状況に至るパスをマネジメトするウェアが雨具だ。

もちろん、死に至る状況に至ることがなくとも、快適に山野で過ごすためには、防寒、防湿機能を兼ね備える雨具の存在はことのほか大きい。

The North Faceの雨具は、夏の北海道の自転車ツーリングから春夏秋冬の登山、エクスペディション、ハイキングまでに大活躍だ。

ビジネスやアカデミアがらみの出張も、「ドアの外へ出る活動」なので、本質的にはアウトドア活動だ。だから、山野、都市環境を問わず、オフ・オンをとわず、このThe North Faceギアをほとんど着るか、携行している。この10月、11月の大分、佐世保、松山、高松、金沢方面への国内出張にももちろん携行。

さて、このギア、使い始めて10年。買い取りコストは、水道橋のさかいやで、たしか38,000円だった。

なので、一日あたりの保有コストは、38,000÷365X10=約1円。

これは、町で着用する背広、ジャケット、コートなどの15倍以上の数値だ。自分にとって、The North Faceゴアテックス・ギアは、名実ともに、もっともコストパフォーマンスの良いウェアだ。

格安航空Jetstar、欠航も結構なり!?

カテゴリー : よもやま話、雑談

北海道から帰ってくる時、ためしに格安航空Jetstarを使ってみた。

前々から、格安航空会社の地方発で羽田や成田に夜着陸する便は欠航になることがままあるとは聞いていた。

しかし、それが現実のもととなったので、一ユーザーの立場でまとめてみる。

2012年 9月7日 (金)
フライトの変更
GK118

Jetstar Japan


Airbus A320
Starter
飛行時間:
1時間 40分
札幌
2012年 9月7日 (金)
2040 hr / 午後 8:40
新千歳空港 国内線ターミナル
東京
2012年 9月7日 (金)
2220 hr / 午後 10:20
成田国際空港 第2ターミナル 国内線エリア
注:時刻は各空港の現地時間です。

運航航空会社:  Japan Jetstar Japan

スマホに以下のような欠航を知らせるメールが突然来たのは当日の16:52だった。デパーチャーまで3時間を切っていたタイミングだ。ちなみに、このフライトの値段は12,190円だった。

下の指示にあるようにコールセンターに何回電話しても、回線が混んでいて、「しばらくしたらおかけください」とのこと。結局1回もつながらず。なんのためのコールセンタか?やれやれ。

                  ***

HIRONOBU MATSUSHITA様,

GK118便 9月7日20時30分 千歳発は機材繰りのため欠航となりました。
詳しいご案内はジェットスター コールセンター 0120-9347-87もしくは0570-550-538までお願い致します。
ご迷惑とご不便をおかけいたしますことを心よりお詫び申し上げます。ジェットスター・ジャパン

GK118 departing on 07September at 20:20 from CHITOSE is Cancelled. Please contact our callcenter For support call, 0120-9347-87 or 0570-550-538[Press 2 for English] Jetstar apologies.

                  ***

まあ、知床、自転車ツーリング、札幌での講義2つと講演1本も無事終わり、早く暑い関東に帰っても、イマイチなので、「なんとかなるさ・・・」くらいの気持ちで千歳まで来てみたのである。

すると、千歳の隅っこのほうに見るからに安普請のJetstarのカウンターで、激しくクレームを言い立てている男性がいる。困惑した表情で、「どうしよう、どうしよう」を連発して不安げな女の子のグループも。

「オレもいっちょ、がんばって言ってやるか!」と一瞬思ったものの、Jetstarのカウンターの向こう側の女の子も可愛い顔して困っている様子。「まあ、疲れるし、そのへんのホテルをあてがわれればそれでヨシとしよう」と、いつになくガッツが湧かない。

これ、知床のblue moonのせい??

                  ***

Jetstarのカウンターでは2つのオプションを示された。

①即刻、欠航分の料金を払い戻す。他社のフライトを買う際には、顧客が差額を負担すること。

②ホテル1泊12000円、朝食1500円、空港⇔ホテル間の公共交通機関の費用をJetstarが負担し、明日の便で帰る。ただし、その場では現金は渡さずに、後日、本人の名前が記された手書きの領収書をJetstarに送付し、手続きが終わってから指定の個人口座に発生費用分が振り込まれる。

                  ***

②を選択。欠航も結構なものだ。

お陰で翌朝、お気に入りの千歳川サイクリングロードでウオーキング、ジョッギングができた。翌日、千歳に行って見ると、Doorbang氏も偶然そこにいて、旧交を再度温め直すこともできた、という次第。

でもなぁ・・・

Jetstar、欠航という緊急事態をメールで知らせるにしても遅すぎる。そして、その後のコールセンターのオペレーションが稚拙すぎる。ローコストキャリア (Low-Cost Carrier)の戦略は、在来のキャリアが、高い固定費の基盤の上に過剰なサービスを提供し、顧客に転嫁してきた状況に対するアンチテーゼだということはよくわかる。

しかし、欠航という事態に陥った顧客に対するサービスとしては残念ながら失格だと思う。唯一の救いは、僕のようにメクジラを立てずに、「欠航でも結構ですよ~~」とおおらかに受けとめてくれる顧客の存在か。

いやはや。

 

羅臼から根室、そして札幌へ(6)~講義など~

カテゴリー : 札幌→知床岬人力移動記

<パニアバックに鹿の角。振り返えれば、知床が遠い>

羅臼で無事、知床エクスペディションは、なにはともあれ終わった。

Yくんはこれから自転車で、知床峠を越えて、斜里、網走、紋別と走り繋ぎ、宗谷岬さらには富良野あたりを目指すという。

僕は僕で、これから札幌へ戻り、客員教授を務めている札幌市立大学で医療マネジメントの講義をやり、北海道大学で技術経営系の講演をすることになっている。その講演の後には、飲み会もセットされている。

二日目の夕方、テントを張っている時、バキッという音と共に、なんとテントのポールが金属疲労のため折れてしまったのだ。その場は、折れたパイプの先端を石で叩いて割り、さらにそのまわりを紐でまきつけ、応急処置をほどこして事無きを得た。

しかし、今後ともこのテントで寝れるという保証はない。やむなく、羅臼から根室までの自転車ツーリングは、テント泊ではなく安宿を使うことにして、ともあれ、走りつづけることにしたのである。

知床岬へのコースで桜井さんが拾った鹿の角をいただいて、それをリアのパニアバックにくくりつける。海沿いの羅臼峠を越え2時間も走ると、羅臼岳がだんだんと遠くなってくる。

ここから根室までは低い羅臼峠以外、峠は皆無でほとんどまっ平か、ゆるいアップダウンが続く土地である。大きな街もなく、場所によっては30kmくらい店もない地域だ。

だいたいアクシデントに見舞われるのは、所期の目標を達成した後、気が緩んでいる時が多い。だから、あまりムリもぜず、かといって、ラクもせず普段通りに走ることを基本に置いた。この地域約170kmを2日かけてゆっくり走り、根室についた。

そこで自転車を分解して自宅まで送った。そこからは、花咲線で釧路へ、釧路からは「あおぞら8号」で、釧路本線、石狩線と乗りついで札幌を目指した。札幌ではアカデミアの活動だ。これまでのワイルドなoutdoor活動とは打って変わってindoor系の講義をこなし、飲み会などもあった。

こうして、あちら側の世界から、こちら側の世界へと徐々に帰ってくるのだ。いきなり、東京へもどるより、札幌で、こちら側に足場を置き戻るというのが、救いといえば救いか・・・。

<札幌市立大学で皆さんといっしょに>

医療・保健・福祉サービスのマーケティングという授業を担当している。

授業のしょっぱなは、今回の旅のまとめと報告。

専門的な内容よりは、一連の冒険談のほうがみなの目が輝く。

<北大でのMOT講演の後、皆さんといっしょに>

北大では、もうあちら側の世界とはほとんど隔絶した「技術経営」という世俗的にしてアーティフィシャルな話題だ。

でも、卒業生のIさん、東京から駆けつけてくれたOさん、など旧交を温めつつも、実に楽しいひと時。

ひとり僕だけが真っ黒な顔をしているのが気にならなくもないが・・・。

こうして、こちら側にだんだんと復帰するのである。

                    ***

・・・正直に言うと、だいたい、あちら側の世界(おおむねoutdoorの世界)からイヤイヤこちら側の世界(都市で生活を営むためのミスギヨスギの仕事中心のindoor系の世界)へ舞い戻りつつあるときは、あまりスッキリした気分にはなれない。

ギアチェンジ、発想と行動の転換、密から顕へのトランスファー。まあ、呼び方はいろいろあるが、ここしばらくは、こちら側にとどまって、いろいろなミスギヨスギで凌いでゆくのだ。

・・・こちら側でも、あちら側でも、そして、それらをまたいで自転車操業人生は続くのである。

自転車っていうと、一人で走っているような感じがするが、どっこい、一人では走れない乗り物だ。

自転車を作る工房の主人、パーツを供給する人、ムツカシイ修理を手伝ってくれる人、道を作る人、メンテナンスする人、キャンプ場を管理する人、食料を流通してくれる人、道すがらいろんな旅の情報をやりとりしてくれる人、それに、こんなバカなことを支えてくれる家族、友人など、いろいろな人のお世話になってはじめて走ることができる。

道すがら、手を振ってくれるバイクライダーからは元気をもらうし、飯や飲み物をおごってくれる地元の人だっている。

・・・いろんな方々のヘルプをもらって、繋がり合ってはじめて、サイクリストは一人で走ることができるのだ。豊かなsocial capitalに支えられて、はじめて自転車は前に進むってこと。

いろいろな絆に支えられながらも、一人で前へ向かって走り続ける時には、自分の身の回りで起こるすべての現実を全部まるごと受け入れ、それらと適宜折り合いをつけなければいけない。そしてペダルを廻して、前に進んでいる限りは、なんとかサイクリストは自転車の上でバランスをとり、立っていることができる。

30年以上前、ネパールのカトマンズで逢ったサイクリストに教えられた言葉だ:

Life is like riding a bicycle: you don’t fall off unless you stop pedaling.

あの頃から数えると、かれこれ35年も自転車に乗って走っている。

で、やっと、この言葉の意味が分かりかけてきた今日この頃なので、オレはものわかりがいいほうじゃない。たぶんバカ者である。

そうして、あっちゃこっちゃ走りながら、indoor,outdoor両方の世界を融通無碍に行ききし、双方の世界で新しい境地を切り開いてゆけるのだ。できれば、そんなかかで意気投合できる人に出逢うことができれば尚いいだろう。助けることができる人がいたら、助けてあげたいし、こっちが窮地に陥った時は、助けても欲しい。

そうじゃなければ走れない。

・・・そう謙虚に自覚しているんでもっと走らせてくれよ。

たぶん、こうしてああだ、こうだ言いながら、これからも自転車で走ってゆくんだろう。

心のどこかに知床を、知床に至る道で遭遇したいろんなことを、しかとしまって、時折反芻しながら・・・。

 札幌→知床岬人力移動記<完>

札幌から知床岬まで全行程人力移動の旅(2)~知床峠から相泊へ~

カテゴリー : イノベーション

翌日は早朝から知床峠アタック。前半戦で狩勝峠、足寄峠、美幌峠などをクリアはしているが、この峠は甘くはない。なにせ、海抜0mから700m以上へと一気に高度を増してゆくからだ。

知床峠は、目梨郡羅臼町と斜里郡斜里町とを一気に結ぶ国道334号、通称「知床横断道路」の峠で標高738 m。峠からは北東の方向に間近にそびえる羅臼岳や、天気がよければ、海の向こうに国後島を望むことができ、知床八景の一つとされている。

でもあいにくこの日の知床峠は乳白色のガスの中・・・。

サイクリストにとって知床峠は高い人気を誇る。否、サイクリストによっては北の宗谷岬と並び称して「聖地」とまで呼ぶ。なるほど、「聖地」という呼称はあながち誇張ではないと思うのだが、知床横断道路を境にしてその東北方面の人がほとんど立ち入らない地域こそが真の聖地なのだ。

だからこそ、われわれは、その聖地に脚を踏み入れるべく、知床峠の向こう側から3人パーティーを結成して知床岬に挑むのだ!

            ***

峠を下って途中、熊の湯の熱い湯につかって知床峠の疲れを癒す。ここ、硫黄の温泉で地元の漁師さんをはじめ、ライダー、チャリダーにとって至福の場所だ。

メールで連絡をとっていると、羅臼からパーティーを組んで知床岬まで一緒に行動を共にするY君は、一足早く羅臼に着いたことが判明。

羅臼ネイチャーセンターで、プロのネイチャーガイドの桜井氏(知床ファクトリー代表)とY君と無自合流!

ハグXハグ♡♡♡

さあ、ここからは3人パーティーだ!

<相泊から先は道路はない>

羅臼の町から北へ20kmほど走ると、そこは相泊。ここから先は道はない。最果ての集落だ。相泊というと、チャリダー、ライダーの間では、「熊宿」が有名だ。ところが、こともあろうに、その熊宿の名物主人の方が病を得て、昨年なくなってしまったという。(合掌)ここから先は道路はない。

ともあれ、札幌からずっと道を走ってきて、ここで道は終わった。

 

自転車を相泊にデポして、明日からは海をシーカヤックで、知床岬までの海岸線を人力=徒歩で移動する。

 

いよいよ、この人力移動の旅は佳境に入ったのだ。

元来、探検とはイノベーティブな行為だ。異質なモノゴトの新しい組み合わせがイノベーションの端緒であるのなら、自転車XシーカヤックX徒歩という組み合わせは、十分イノベーティブだと思うのだが、さて。。

<相泊温泉>

長年、訪れたかった相どまり温泉。

見ての通り、海岸に掘立小屋をしつらえただけの簡素は作り。

硫黄と海水がほどよくまじりあった絶妙な泉質。

 

                          ***

さて、今回のexpeditionが一気に具体化したのにはあるきっかけがあった。

今年の寒い頃に広島と愛媛をむすぶ、「しまなみ海道」を自転車で走った時に、因島の民宿で同宿したサイクリスト氏が登山もよくする人。そのサイクリスト氏とビールをいっしょに飲みながらアウトドアの話に花が咲いている時に、彼が、おもむろに知床岬への海岸線縦走を果たしたというう話をし始めたのだ。

それまで、過去20年間以上、知床岬はいつも頭のどこかにありつづけてきたのだが、しかし、しまなみ海道で遭遇したサイクリスト氏の知床岬への冒険談には心底惹かれるものがあり、その後、彼とメールでやりとりして、プロフェッショナルなnature guideを紹介してもらったりしたのだ。そしていきついた先が、知床ファクトリーの桜井さんだったのだ。

ああ、不思議な御縁!

 

<ライダーハウスMAX>

そんなこともあり、われわれは、相泊の多少羅臼側にあるライダーハウスMAXに転がり込む。

ここに一泊。

屋根がある所はいい。

看板の英語、ちょい意味不明だが・・・

 

<相泊のライダーハウスMAX前の浜で 桜井さん、小生、Yくん>

明日からの行動予定についてミーティング。

ワクワク、ドキドキ・・・

 

<陽気なオジサンたちとの飲み会>

相泊の温泉といえば、そう、相泊温泉。潮風に吹かれながら、あの狭い湯船につかって、今日二度目の温泉。ああ、幸せだ・・・。

さて、ライダーハウスでは夜は、同宿者同士で宴会となる。ごたぶんにもれず、この夜も宴会。聞けば、陽気この上もないおじさんたちは札幌から車で走ってきて、明日は釣りだという。意気投合して、ビールにはじまり、ウイスキー、焼酎とひたすらお酒をふるまってくれる。

ありがたや。最後は、「カレーがあるから食べなよ」ということで、カレーまでご馳走になってしまった。旅は道づれ世は情けか。

釣りをするバカ、自転車に乗るバカ、知床岬まで人力でゆくバカ。

そう、バカが集まるとひたすら楽しいのだ。

            ***

フランスの作家アンドレ・プレヴォの言葉を引いておこう。

「旅するおかげで、われわれは、自分たちのことを確かめることが出来る。たとえ各民族に国境があろうとも、人間の愚行には国境がない。」 

そう!越境する愚行にこそ、真の楽しさがあるのだ。

もうひとつ、米国の政治家、起業家のロイ・M・グッドマンは、こう記している。

「幸せとは、旅の仕方であって、行き先のことではない。」 

幸福とは、人生の旅の終着点にあるのではなく、その旅をどのようにやりとげるのか、その過程、プロセスの中にこそ、存在するということなのだろう。

旅の方法を変えてみてこそ、新たな発見や出逢いがある。旅での新たな邂逅、発見、未知との遭遇、それにどう反応し、どう心動かされ、そして、その幸せを自覚するか否かは、はやり自分次第ということなのだろう。

明日からは自転車を降りて、シーカヤック、そして徒歩による知床岬への縦走となる。たしかに、目標と定めた行き先は知床岬だ。でもそこに至る道程に、どのような情景、困難、感動、出逢い、がわれわれを待ち受けているのだろうか?

そう思うと、遠足を翌日に控えた小学生のように、なかなか寝付かれないのであった。

つづき>>

 

札幌から知床岬まで全行程人力移動の旅(1)~女満別からウトロへ~

カテゴリー : 札幌→知床岬人力移動記

<2012夏:札幌→知床岬全行程人力移動の全体図>

札幌から女満別までが前半の自転車ツーリング(上図黒字ルート、その概要はこちら)、そして女満別から知床峠を経て羅臼、知床岬までが後半の自転車+シーカヤック+徒歩縦走(上図の赤字ルート)の全体マップとなる。

知床岬の詳細図(上の地図の緑色の部分)をさらに拡大した概念図を手書きで作ってみた。

<札幌から知床半島先端までの最後の詰めに向かって>

札幌から約700km走って女満別に着いたところで、いったん仕事、用事などをこなすために千葉へ引き返し、約1カ月間、仕事、執筆、四国への出張、飲み会、親戚の結婚式などをこなして、またまたやって来ました、女満別。

ああ、北海道よ!自転車よ!

北海道で自転車ツーリングをしている時間を、かりに本質的な時間とすれば、あとはしょせん雑事の時間なのか?

そんな極端、エキセントリックな観念に取りつかれても、ことさら積極的に否定もしない自分がいる。そう、cyclist’s mindというaltered state of consciousness(変性意識)に意識は越境しつつあるのだ・・・。

木霊と交流し、山や風の神様からメッセージを稟(う)け、真摯に、それらのメッセージに意味を紡ぎだしてゆく。自らの心臓の鼓動に、息遣いに、気を配りながら、自然から寄せられる豊饒な意味空間はトランセンデンタール。

そうだ、あちら側の豊かな世界に・・・越境、超越してゆくのだ。。

             ***

さて、今回のつづきの旅のために、自転車とキャンプ道具一式を、びほろ後楽園という宿にあづけておいた。夕刻の飛行機で女満別の空港に降り立ち、くだんの安宿に一泊、ここからツーリング自転車によるキャンピング中心だった前半の旅に引き続き、人力移動の第二幕が始まるのだ。

前半、後半を通して、今回の旅の最大の目標は、札幌から知床岬の先端まで、自転車、シーカヤック、徒歩によるすべて人力による移動でこなす!というものだ。

その最後のツメの3日間の行動計画が上に示した手書きの地図だ。最後の3日は、自転車を降りて、シーカヤック、そして徒歩による縦走となる。

まわりの人間にこの構想について話をするとおおむね反応は8:2位の比率で二つにわかれた。

ひとつめは「モノ好きにもほどがある。便利なバスとか鉄道を使って美味しいものでも食べ、もっと楽しんできたらどうか?」ふたつめは、「すごい!ぜひチャレンジを応援したい!」という反応だ。

当然、前者のような反応は失礼にならないように軽くあしらって終わり。後者は、おおむね登山、自転車、アウトドアを趣味とする人間から寄せられる好意的な反応である。

実はfacebookのほうで、後者の反応を示してくれた友人、知人を中心に小さなグループを立てておいて、知床経験者からの貴重な情報を集約したり、ザイルなどの山道具をかしていだだいたり、行動をともにする者を集めたり、ポジティブな反応を得てモチベーションを高めつつ、この計画を進めてきたのである。

facebookなどのSocial network serviceはアウトドア活動を進める上で親和性が高いと思う。(これはこれでひとつのテーマを成すので、いずれどこかで書きたいものだ・・・)

<網走湖の湖畔>

12年目に突入したアルプス・パスハンターベースのキャンピング自転車。玄人筋のサイクリストからは奇異な目で見られなくもないが、ありし日のアルプス店主の萩原さんといろいろ議論してオーダーして創り上げたお気に入りの相棒だ。

朝日に照らされて光り輝くワインレッドの細身のクロモリ・フレームがなんとも言えない。

ツーリング自転車のみが持つ洗練されたdesignのforwardabilityは、美しい風景とよく溶けあう。

 <原生花園>

このあたりの道は、どこまでも果てしなくまっすぐに続く。

2004年に逆方向から自転車で走った道だ。

このあたりからは、斜里岳、海別岳、遠音別岳、羅臼岳、サルシイ岳、そして知床岬の先端が一望のもとだ。札幌からから、この地点までは約700km。よくここまでやってきたもんだ、という感慨もさることながら、この連綿と続く地上の凹凸の風景に接すると、「まだまだ先は長い!」という諦念にも似た感情が湧き上がってくる。

よく見ると、羅臼岳の西側のコル、つまり知床峠あたりには、厚い雲がかかっている。・・・ということは明日予定している知床峠越えは、熱い日光を回避できる。シメシメ。

 <オホーツクへまっすぐ伸びる道>

このたびの前半で訪れた足寄の松山千春の歌詞を思い出す・・・。

北海道でまっすぐな道を走って、松山千春の歌詞を口づさむサイクリストは多いと聞いたが、なるほどと思う。

<オシンコシンの滝>

道のわきに突如、出現する滝。

暑くなった体を冷やすのにはちょうどいい休息ポイントだ。

<国設知床野営場>

女満別から約90kmのことろにある、ウトロの山側にあるキャンプ場でテント泊。

地べたにテントを張り、ねっころがると、ほっとする。

<夕日の見える丘>

キャンプ場のすぐ近くには、その名も、「夕日の見える丘」というビュー・ポイントがある。

あるほど、この日の夕日は、とくだんに綺麗、かつ荘厳なものだった。

夕日のなかには、明日という日が見えるのだ。

つづき>>>