
2026年度(令和8年度)の診療報酬改定が答申されました。今回の改定を一言で表すなら、『相談』から『実践』へ。多職種連携が経営の生命線になることがやっと診療報酬制度でも認識されたと言えるでしょう。特に注目すべきは、これまでの「情報共有(カンファレンス)」に対する評価から一歩踏み込み病棟での実質的な多職種連携に対する高評価がついた点です。ここでは、今回の改定で多職種連携がどのように評価されたのか、具体的な新設項目と点数、そして現場が準備すべきポイントを解説します。
1. 急性期病棟の“働き方”が変わる!「看護・多職種協働加算」の新設
これまで急性期一般入院料(特に急性期一般1以外)では、看護配置の維持が大きな課題でした。今回の改定では、看護師だけでなく、リハビリ職や管理栄養士などが病棟業務を分担・協働することで算定できる画期的な加算が登場しました。
【新設】看護・多職種協働加算
- 対象病棟:急性期一般入院料4、急性期病院B一般入院料
- 点数設定:
- 加算1(急性期一般4):277点/日
- 加算2(急性期病院B):255点/日
- 算定のポイント:
- 多職種ミックスで「25対1」配置:看護職員に加え、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、管理栄養士、臨床検査技師を病棟に常時配置(25対1以上)することで要件を満たせます。
- タスク・シェアの推進:これまで看護師が担っていたADL維持や食事介助、リハビリ的な関わりを多職種が「病棟業務」として実施する体制が評価されます。
<現場へのインパクト>
これまでの「リハビリはリハ室で」というスタイルから、「セラピストや栄養士が病棟に常駐し、生活の場でケアする」スタイルへの大きな転換が求められます。看護師不足に悩む病院にとっては、多職種のパワーを病棟配置数にカウントできるため、非常に大きなメリットとなります。いろいろな工夫がありますが、詳しくは講演等で紹介する予定です。
2. 医療DX加算が再編!「電子的診療情報連携体制整備加算」へ
「医療DX推進体制整備加算」と「医療情報取得加算」が廃止・統合され、より高度なデータ連携を評価する新加算へと生まれ変わりました。単なる「マイナ保険証利用」だけでなく、電子処方箋やカルテ共有が要件化された点が大きな違いです。
【新設】電子的診療情報連携体制整備加算(初診時)
- 加算1(15点):電子処方箋の発行体制 + 電子カルテ情報共有サービスの活用実績あり
- 加算2(9点):電子処方箋の発行体制(導入予定含む) + マイナ保険証利用実績
- 加算3(4点):オンライン資格確認体制のみ
<現場へのインパクト>
これからの多職種連携は、紙や電話(旧石器時代にようなことを行っている病院が多い)ではなく「医療情報プラットフォーム」を通じたデータ連携が標準になります。特に、地域の薬局や他院との連携において、加算1(15点)を目指すには電子処方箋と電子カルテ共有サービスの導入が必須となります。
3. 「リハ・栄養・口腔」の一体的管理がさらに拡充
高齢者の予後改善に直結する「リハビリ・栄養・口腔」の3要素連携は、今回さらに強化されました。
【見直し】リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算
- 点数アップ:
- 加算1:120点 → 150点へ増点
- 加算2(新設):90点(施設基準を一部緩和)
- 対象拡大:これまでの回復期などに加え、地域包括ケア病棟でも算定が可能になりました。
これにより、地域包括ケア病棟においても、管理栄養士や歯科衛生士、セラピストがチームで計画的に介入することが、収益面でも強く後押しされることになります。
まとめ:2026年度改定を乗り切る鍵は「組織的な連携」今回の改定は、個々の職種の専門性を高めるだけでなく、「職種の壁を越えて、組織としてどう動くか」を問う内容となっています。
- 看護師不足を多職種で補う(看護・多職種協働加算)
- 院外との連携をDXで自動化する(電子的診療情報連携体制整備加算)
- ADL維持をチームの共通目標にする(リハ・栄養・口腔連携)
「連携」という言葉が、精神論ではなく「具体的な点数(つまり経営資源)」として可視化されたのが2026年度改定の特徴です。早めに院内のタスク・シェア状況を見直し、新加算の算定に向けたシミュレーションを始めることをお勧めします。

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