ワーク・シフト

こないだLondon Business SchoolでMBAを取った友人と酒を飲みながらワイワイ雑談していたら、この本の著者リンダ・グラットンの話になった。

おいおい、その友人は20数年前に、直接若かりし頃の女史が講ずるOBやHRMの授業をとったことがあるそうだ。また、ちょっと前に日本にやってきてLBSの日本同窓会などで精力的に講演などを行っていたそうだ。

そうなんですか!それやこれやで、この本のことを想い出した。

この本で特に印象に残っているのは、第5章のコ・クリエーションの未来から以降だ。キャッチーなco-creationなる用語をうまく使っている。つまり、co-creationのモトとしての資本論。仕事の世界で必要な3種類の資本(p232)として、①知的資本、②人間関係資本、③情緒的資本を上げている。知的資本はコンピテンシー、人間関係資本はネットワーキング、情緒的資本は、ダニエル・コールマンのEQ論などにも通じる内容だ。

カリヨン型のキャリアツリー(p294)は、「精力的に仕事に打ち込む期間と、長期休業して学業やボランティア活動に専念したり、仕事のペースを落として私生活を優先させたりする期間を交互に経験し、ジグザグ模様を描きながら仕事へのエネルギーや技能を高めてゆく」という生き方だ。共感しますね。

第9章では、孤独な競争ではなく、仲間と協力して起こすイノベーションが説かれている。イノベーションの当事者は起業家だ。そのミニ起業家(p208)が活躍する静態系には「自己再生コミュニティ」(p309)が必要だという考えかた。「自己再生コミュニティのメンバーとは、現実の世界で頻繁に会い、一緒に食事をしたり、冗談をいって笑いあったり、プライベートなことを語り合ったりして、くつろいで時間を過ごす。生活の質を高め、心の幸福を感じるために、このような人間関係が必要になる」

ポッセ(p311)とは、「頼りになる同士」、つまり、難しい課題や問題解決に際して、頼りになる専門性を持つ仲の良い知人・友人のこと。実は、SNSなどバーチャルに弱く薄く繋がる表層的な「知り合い」よりも、自己再生コミュニティやポッセが重要なんですよーーー、そんな主張が、かなり個人的な話を織り交ぜて展開してゆく。

とても示唆に満ちた本ですね。あまり新刊本は読まないのですが、OBやHRMは専門隣接領域なので、はやり、欠かせません。セルフ・ヘルプ、起業、サービス・イノベーション、価値共創、仲間づくり、健康的な生活をする、キャリア開発・・・などの文脈で読んでもとても面白いと思う。いい本はいろいろな文脈で読んでみて、多様な読後感を残してくれます。

以下は第1章を中心としてBiz Generationのサイトがまとめたもののコピペです。

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1.テクノロジーの変化

 アフリカでは、マサイ族が携帯電話を使っていること、教育のIT化が進んでいることなどを例に挙げつつ、テクノロジーが社会に影響を与えていることを述べた。

2.グローバル化の進展

 リンダ・グラットン教授の住むロンドンでは、イギリス人だけでなく、他の人種も増えていることを例に挙げていおり、その流れは企業にも、多様性を求め始めるだろうと述べた。日本では、まだ人種の多様性はあまりないが、長期的には、そのような傾向は持続せず、日本でも多様化していく傾向にある。

3.人口構造の変化と長寿化

 日本の高齢化は社会問題と化しているが、これと全く同じ事が20年後の中国でも起きるだろうと予測。自分が年を取った時に何をするかを考えつつ、仕事への取り組み方を変えるべきであろうと言う。

4.社会の変化

 デンマークでは単身世帯の方が、複数世代で暮らしている家庭よりも多いことや、離婚の増加などを例に挙げつつ、社会の変化を取り上げた。

5.エネルギー・環境問題の深刻化

 第一の資源は石油ではなく「水」であるとし、地下からの水はもう底をつき始めていると言い、将来は水という資源と二酸化炭素に悩まされる社会になるという。 

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