燎原の火

1か月くらい前、いつものサイクリングロードを走っていたら、野原が火事になっているではないか。道行くサイクリストは唖然として立ちすくみ、近在の住民の方々も当惑した面持ちで火事の現場に駆けつけてきた。そのうち、消防車が数台やってきたて、消火活動の騒ぎとあいなった。

おりしも強い西風にあおられて、ほどなくして火の波は東の開けた野原全体を覆いつくした。地を這うようにして広がっている低木や草木は枯れているうえに、冬の気候のなか乾燥しているので火の回りは早い。まさに燎原の火である。精鋭な消防隊員約10人をもってしても、勢いよく燃え盛る野火の勢いをくい止めるのに小一時間かかった。

ほどなくして、またサイクリングロードをトレーニングがてら走ってみると、かの燎原の火は、あたり一面の原っぱを真っ黒こげの焼け跡にしていた。野火のあとは、植物がよく成長するという。4月にもなれば、青々とした草木が、なにもなかったかのように、また繁茂するのだろうか。どのような植物から生育しはじめるのだろうか。特定の植物の群生はできるのだろうか。蝶や蜻蛉の飛来はあるのだろうか。

こんな野火の跡のネイチャーの遷移、位相の変化を、そこはかとなく観察しながら、自転車で走るのもいいかもしれない。

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