英語でシノぐ国際共同研究

<AITCS、AITCS-IIを開発したウェスタン大学のオーチャード博士と>

今年も8月のほとんどは、カナダのオンタリオ州にいた。学生を引き連れてBrock universityという州立大学に約3週間滞在。

今年からは科研費の国際共同研究が始まり、当地のカナダ人研究者とタッグを組んで、特にヘルスケア分野のInterprofessional Collaboration(多職種連携協働)によるイノベーション創発、サービスクオリティの向上、安全レベルの向上というテーマに取り組んでいる。

この分野、カナダ、アメリカを含める英語圏では相当な実証研究の蓄積がある。医学や看護学、保健学といった縦割りをよしとしない、学際、超際、異界越境型のシステム科学やシステム思考、サービス科学的なアプローチが底流にある。

ところが、日本では、個々の学問が相互不可侵的な位置取りで、「キワ」や「スキ」を越境するというアプローチが弱い。縦割りの学問分野それぞれが既得権益のような構造を持ち、越境ということが興りにくい体質を隠微に持っている。

異質なモノコトの新しい結合がイノベーションの契機となるが、 「キワ」や「スキ」を越境 しないと必然的にイノベーションは停滞することになる。

しかも、日本の学問、とくに日本的なる現象を解明する分野は「土着化」という慣性が強く、日本語というローカル言語(言霊?)で日本語世界においてのみ言説が流通されるという構造を持つ。こうなってくると、普遍性を追求する学問であっても、部分最適になりやすく、研究者は「日本語の壁」内側で言霊ゲームにいそしむようになる。とくにこの傾向は人文系に出やすいのではかなろうか。

このあたりの事情を日経ウェブ版のコラム「英語で世界をシノぐ方法」 で書いたことがある。ブログ版はこちら。研究者として 英語で世界をシノぐ のはそうそうたやすいことではないが。

まあ、いろいろあるが、こうであってはいけないので、医学、自然科学分野、先端的な社会科学分野では、 国際共同研究 が大切になってくるのだ。文科省もやっとこのことに気が付いて、やたらに国際共同研究に対するインセンティブを強めている。

それやこれやで、今年はブロック大学とウェスタン大学の研究者とインタープロフェッショナルなチームを組んで、研究を進めている。 「キワ」や「スキ」を越境 することは本質的に愉しい。ここに愉しさを見出す人のことをキワ者、スキ者というそうな。

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