診療報酬制度改定のたびに記事を書く

いろいろ忙しい毎日に加え、学外からの仕事も降ってくる。だから、また忙しくなる。商業誌の仕事はあまり受けないようにしているのだが、強く(というか上手に)頼まれればやはり断りきれない。出版社のほうも出版社で、断りにくいような面白い企画を出してくるので、ついつい面白さを感じて受けてしまう。今月は、エキスパートナースという看護向けの商業誌に、「ここを知って、業務・キャリアデザインに活かす! 令和4年度診療報酬改定」の大部な特集記事を寄稿した。

医療政策分析・医療経営は専門の一つなので、いつかは医療経済・医療政策分析・医療経営についての、がっちりした社会科学の専門書1冊の本を出そうと思っているのだが、診療報酬制度の改定は2年に一回あり、そのたびに、商業誌から執筆の依頼がある。今回で6年連続だ。すると、気持ちと投入する時間は専門書のほうではなく、記事のほうに向かってしまう。いやはや。

日常から20分くらいのコマ切れの時間を捻出し、それらを積み上げるようにして原稿を書くのは、この20年くらいずっと継続している習慣のようなものなので、まあ、他の仕事をこなしながら、楽しみながら書いてしまう。書き終えたころには、また不思議なもので、執筆やら講演やらの依頼がやってくる。

さて、背に腹は代えられない診療報酬改定への対応。だから、専門的な知識よりも、すぐに活用できるノウハウのほうが大きなニーズがあるのは分かる。でも単なるノウハウや点数の解釈を書き連ねるのは、いかがなものか。厚生労働省の政策誘導のお先棒を担ぐだけの「御用学者」、「御用ライター」になってしまってはまさにオワコンで終わってしまう。だから今回は目先を変えて、授業でもやっている「キャリアデザイン」という視点から診療報酬改定を分析してみた。

実は、職場・病院選びに、役立つ情報やヒントが診療報酬改定には満載だ。だから、診療報酬制度の改定は、キャリアデザインにも役に立つ。だれしも、看護師としての専門性を活かすことができる病院、発展性のある分野、淘汰されずに発展する病院、ストレスなく働くことができる職場を選びたいと思っているはずだ。診療報酬改定のたびに、短期的な損得勘定で病棟の機能や区分をコロコロ頻繁に変える病院はNGだ。また、民間病院ではありがちなことだが、オーナーが頻繁に代わり、そのたびに病院の経営方針や病棟経営方針が変わる病院もよくない。経営方針が変わるたびに、多くの看護師・医師・コメディカルが退職し、入職する病院もよくある。

そういった事情は、診療報酬改定と表裏一体だ。診療報酬制度改定のたびに記事を書かざるを得ないのだが、今回は、そんな話を書いた次第。

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