グローバル研究エコシステムのコラボレーション

この数年間、科研費でヘルスケアの多職種連携の研究を進めている。科研費で共同研究病院を開拓し、調査用の尺度を活用してサーベイ・システムを作り、データを集め、内外の研究メンバーでデータベースを共有し、役割分担を決めて日本語や英語の論文を書き進めている。また、アクション・リサーチの一環として、共同研究病院に調査結果をフィードバックして、議論をくわえ、医療機関の経営イノベーションに寄与する活動も行っている。

このようなことを3年も続けていると、自然と多様な才能や人脈を持つ人材が集まってくる。当初は、わずか3人くらいで始まった研究チームだったのだが、学際的な人の輪が拡がっている。研究に用いる尺度は、日本国内や海外の研究者から許諾を得ており、尺度研究・概念研究・多変量解析に強い研究者とのコラボレーションが進むこととなる。

もっとも、いくら良質の尺度やサーベイ・システムがあるだけでは研究は進まない。共同研究病院がなければ、研究は1mmも進まない。幸いにして、全国の講演会や研修会でまいた種が育っていて、それらの受講者は今や看護部長や副病院長などをやっている。そういう方々が積極的に手を挙げてくれ、共同研究病院となってくれる。ありがたいことだ。

面白いことに、カナダの協力研究者が芋ずる式に優秀な海外の研究者を紹介してくれ、研究コミュニティに入ってくれたので、アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、オーストラリア、アフリカ、フィンランド、オランダなど海外の共著者を含めると20人を超える。SpringerNatureから出した前作がわりと好評だったので、また、近々SN社から本を出版する。いつのまにか、国際色豊かになったものだ。研究者仲間や共同研究病院の方々とわいわい・がやがやディスカッションしながら、論文を出していると、奇特な読者から、また、いろいろな声がかかる。尺度を使わせてほしいという医療機関もいれば、商業出版社から、記事や連載の依頼などが来るようになる。

それやこれやで、商業出版の連載やら記事書きに追われることはなはだしい。大学以外の職能団体からも講演に呼ばれたりもする。これらの研究アクティビティを新旧順に並べたトラックレコードも実は科研費で作っている。サイエンティフックな研究はスタンド・アローンな個人の力だけでは、たかが知れているので、やはり異才が混交するグローバルなチームのコラボレーションが肝要だ。自由闊達なコラボレーションがあるところには、研究エコシステムが自己組織的に創発するものなのだろう。

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