カオスの淵、シンクロニシティ

<東尋坊>

マイルがたまったので、その消化を兼ねて越前と能登方面へ気軽な旅に行ってきた。冬の日本海の荒波はいい。

鉛色にくすんだ空と、その鉛色の空の下には荒涼とした日本海が拡がる。人はこの風景を殺風景と呼ぶそうな。

海と陸が交錯する崖は、カオスの淵でもあり、断崖にぶつかっては砕け散る荒々しい白波を、まんじりと眺めていると、潜在意識が蠢いてくる。

さて、この旅が終わってから、なんの気なしに、研究室の本棚から9年前に書いた本を久しぶりに取り出して、ペラペラとページをめくっていた。

この本のテーマはチーム医療とイノベーション。9年も前に書いた本だから、いささか内容が古くなっている。そもそもチーム医療という用語は古すぎる。本来ならば、Interprofessional Collaboration、日本語では、多職種連携とか多職種協働と言うべきだろう。

ま、昔書いた本が、オワコンになったということだ。これも多数の本を書いてきた著者として、いたしかたないと考えるべきか。

翌日、メールを開いて、ギョっとした。なんと、その本の版元の出版社の編集者からのメールで、改版の依頼。その編集者とは9年前に件の本を出版してから、数回会っただけで、その後なんの音沙汰もない状態。こちらはこちからで、他の出版社から新刊を出したり、論文を出したりでいそがしかったのだ。

返事のメールを出すと、

「テキストp.57、130にも書かれている
『シンクロニシティ』でしょうか。 瑞兆としたいですね」

と返事が返ってきた。

翌日、会って、とんとん拍子で話は進み、改訂版のこの本をまた、出版することになった。

カオスの淵に身を置いて放心すると、シンクロニシティが蠢くのか?

コメント

タイトルとURLをコピーしました