国民的ドーナツ&コーヒーショップといえば、元アイス・ホッケー選手だったTim Hortonが創業したTim Hortonsだ。1964年にオンタリオ湖の西の端になるハミルトンでオープンしたのが、第1号店だという。
1930年生まれのティム・ホートンの経歴は、なかなか変わっている。彼は北部オンタリオ地区の小さなホッケーリーグの選手として活躍した。その後、ナショナル・ホッケー・リーグのドラフトで見事トロント・メープルリーフスの指名を受け、同チームで17年間プレーし4度のスタンレー・カップ優勝も経験した。
その後、彼の友人のハミルトン警察署の巡査であったロン・ジョイスと出会い、Tim Hortonsの共同経営に乗り出したのだ。ところが、ティム・ホートンが1974年、44歳のときに突然の自動車事故で死亡すると、ジョイスは事業のすべてを買収し40店舗のチェーンを単独で所有したのだ。
現在は、カナダ国内に急速に拡がり、カナダ最大のファーストフードチェーンとなっている。ティムホートンズはカナダの至る所に立っている。店舗数は、カナダ国内に約3,000店以上店を構えている。アメリカの主要都市にも進出している。カナダ人の友人に言わせると、もはやティム・ホートンズは、カナダ人のアイデンティティを象徴する存在にまでなりつつあるという。それほどまでに、身近な存在なのだろう。
で、その実力は圧倒している。ティム・ホートンズは、カナダ国内のファーストフード全売上の23%を占める。カナダ国内にあるコーヒー、パン菓子製品の店舗の76%のシェアを持ち、カナダ国内のカフェとしてのシェアは62%。2位のスターバックス は、わずか7%であり、ティム・ホートンズはスタバを大きく突き放している。
ティム・ホートンズは、コミュニティとの関わりあいを重視している。たとえば、地域のコミュニティ支援や「ティムホートンズ児童基金」の活動を行っている。この基金はロン・ジョイスが設立したもので、多くの恵まれないカナダ人子女に対しアウトドア・アクティブティやサマーキャンプへの参加費用を援助している。また、地域店舗の店主なども地元のスポーツチームなどのコミュニティ組織に寄付活動を行っている。このような地道な活動も、コミュニティから評価されいるのだろう。
ティム・ホートンズのマーケット・メッセージは単純明快だ。「常に新鮮 (Always Fresh)」と「あなたのそばにはいつもティムホートンズ (You’ve Always Got Time For Tim Hortons)」である。紙のカップにも印刷されているし、店内にさりげなく掲げられているし、TVコマーシャルでも繰り返し流れてくる。Always Freshは、コーヒーやドーナツなどのモノの新鮮さを訴求。You’ve Always Got Time For Tim Hortonsは、さしずめ、ティムホートンズの店内でリラックスして、ちょっとした豊かな時間を持ちましょうというサービスの経験価値を訴求しているのだろう。
ブロック大学滞在中は、毎朝、近くの公園でジョギングした後、ここに通って、Mサイズのコーヒーとクロワッサンかプレーン・ドーナツで朝食。隣のマックよりは、コーヒーは安いし、うまい。400円ちょいで、でかくて旨いコーヒーと軽食にありつけるのはよい。気取らないアットホームな雰囲気もよい。よく見渡すと、毎朝通ってくる常連客もかなりいた。
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