診療報酬制度の中でチーム医療や多職種連携は、次々と点数が加点されている。ところが、多くの医療機関では多職種の頭数を揃え、定例的な会議を行うといった形式の整備だけで終わってしまっているケースがほとんどだ。
それでいいのだろうか。そのような「形式」を整えることも大切なことだが、実質的なインパクトを生み出すことを考えてみよう。
そもそもチーム医療や他職種連携は、例えば医療の質や医療の安全レベルをアップすることに貢献しなければいけないはずだ。医療の質や医療安全レベルというのは、広く言えばトータル・クオリティー・コントロール(TQC)になってくる。だからチーム医療や他職種連携の大きな目的として、トータル・クオリティー・コントロールを置くことが大事だ。
ただし、強制によるTQCはかつての日本企業が経験したように過重労働への誘導や、細かな改善に終始してしまい、組織ぐるみのイノベーションに繋がらないことも多々ある。改善のためのTQCに加え、イノベーションをスケールするためのTQCが必要だ。
その際のいくつかのポイントを整理してみる。
- 厚労省の加点対象かどうなのか、に拘わらず手上げ方式で医療の質や医療の安全に関わるプロジェクトテーマを挙げてもらう。
- その医療チームの中で、「医療サービスTQC技法」を学習してもらう。ここがポイント。
- 基本的な医療サービスTQC技法に基づいて、3ヶ月から半年程度、実際に活動を行ってもらう。院内のデータセンターと連携することでデータ・ドリブンな運動となる。
- それらのQCサークルの成果をエビデンスを明確にして院内の誰もが見えるような環境で発表してもらう。認知的報酬をシェアする。
- 顕著な成果を生み出した医療チームを病院長が大々的に表彰する。
以上のような他職種による活動を、院内外に見える化して舞台の上に乗せて活動をする。医療サービスTQC技法は、松下が東京工業大学時代に開発した自家薬籠中のシステムだ。製造業などでよく使われきた工学的なTQCを医療サービス科学の視点から①データサイエンス、②組織学習、③社会的感情プログラム、④コラボレーティブ・リーダーシップを統合しアレンジした画期的な手法であると自負している。
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