- トップティアのアメリカの大学、大学院はビジネススクールとSTEM(Science、Technology、Engineering、Mathematics)を融合させている。それによって、アメリカで目下巻き起こっている産業革命にフィットする人材を養成している。CornellにもCornell Techがあり、この方向をきちんと押さえている。そこに出入りしている起業家、サイエンティスト、テックの連中と面白い議論になった。テーマは日本の労働市場だ。
- わかりやすい部分では、日本の大手企業で初任給が上がっている。その背景には何があるのだろうか。物価上昇に伴い実質賃金が減少するため、実質賃金を引き上げなければならず、優秀な人材を採用することが難しい。ただし、長期的に見れば、これから日本は長く続いてきたデフレに終止符を打ちインフレーション基調に転換していく。それに伴い実質賃金が低くなってくる。優秀な人材を確保するためには、やはり実質賃金を向上させる必要があり、重要なポイントは日本全体の人口が減っていて高齢化しているということ。つまり優秀な人材が希少資源化するということ。
- 「優秀な人材」は勢いのある成長産業に集まってくる。産業構造はどのように変化してゆくのだろう。IT化、WEB化、クラウドやビッグデータの活用、センサーの活用、人工知能などにより、サービス業のあり方が根本的に変化している。それらを支えている半導体の計算能力。半導体の計算能力をささえてるのが、チップのファブレスの設計能力、ファウンドリの製造能力だ。
- 例えば、データサイエンティスト、投資家、ファンドマネージャ、ITC技術者などの先端的な分野で活用できる人材の需要は今後とも増大する。 とはいえ、ここで注意しなければいけないことは、職種ごとの賃金格差が広まるのみならず、 データサイエンティスト、投資家、ファンドマネージャー、 ITC 技術者のスキルはピンキリなので、そういった職種内部での個体の賃金格差が広がるということ。 逆に、トラック運転手やタクシー運転手などの人材に関しても競争が激しくなっている。これらをまとめると、日本全体で人口が減少している中でも、成長が見込まれる産業分野では高度なイノベーション人材がますます求められるようになっている。
- つまり、第4次産業革命のいない手セクター、周辺セクターでは、人材ニーズは極端化し、ますます高度・先端的な人材が必要とされている。人材格差、給与格差、報酬格差、能力格差などがますます広がってくる。4月の新卒の一括採用、労使交渉による予定調和的賃上げ。職能資格制度。こんな硬直的なシステムでは対応できないのは明らかだ。
- スキルのビッグシフトが進む第4次産業革命が着々と進行している今日、既存の人材システムを突き抜けるようなイノベーティブな人材は旧式の産業システムにはいつかない。それらの産業システムのバグをついてニッチを見つけ、そこで唯一無二のスキルやコンピテンシーを確立できる人材にとっては無限大の機会が訪れる。
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