自転車工具の話

ちょっと前に、親切で小細工の才能豊かな友人が自転車工具袋を作ってくれた。

この頑丈な工具袋には、自転車ツーリングの現場に必要なすべての工具が納まった。というか、すべて収まるようにデザインして、縫製加工してくれた。実にありがたいものだ。

さて、自転車ツーリングの現場は、旅という複雑なシステムのフォアフロントだ。そのフォアフロントでは、ソフトな人間つまりサイクリストが自転車というハードなシステムを駆使して雨風の中走ったり、千差万別の自然条件のなかで野営したりする。

すると、けっこうトラブルに見舞われることとなる。パンクはもちろんのこと、バースト、各種駆動部のガタ、ダボネジの緩み、マッドガードの破損、スポーク折れ、などなど。

深刻なトラブルに陥ったり遭遇したりする前にいち早く発見して、メインテナンスしたり修理することがポイントだ。地道にコツコツやるしかないのだが、工夫していることが3つほどある。

①走行中の自転車が発する様々な「微妙な音」を聞き分けて自転車の異常を察知する。②輪行して分解する時、組み立てる時に細部まで目を光らせ、こまめに修理・メインテナンスや注油をしておく。③長いダウンヒルを下る前の峠では、ネジなどの緩みなどを重点的にチェックする。

そうすれば、なんとかなる。その、なんとかなる状況を創り出す有用な手段が工具だ。多すぎず必要最低限のアイテムと重量に留めおく。もっとも、自転車以外にもテント、バーナー、ランプなどキャンピング用の生活系資材の修理にもペンチを筆頭に工具は力を発揮する。

かように工具一式は自転車旅行にとって切っても切り離せない相棒なのだ。

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