タコツボ積み上げ型組織としての病院は、縦割り組織で、全体最適よりも部分最適を目指しがちで、専門性という岩盤を軸にして経営、運営されることとなる。おおまかにいうと、7つの特徴がある。以下の7項目のうち、4つ以上あてはまれば、タコツボ性が濃く、閉塞感が強いとみてよいだろう。
①自分(たち)の専門以外のことは口出ししない、させない。
②内向きに働き、余計な変化は起こさない、かぶらない。
③タスクシフティングやタスクシェアリングが不得手。
④外部に生じるイノベーションを吸収できない。
⑤内部からイノベーションの素を創成できない。
⑥変化やイノベーションを拡散できない。
⑦自分(たち)の専門的役割のなかでは高い成果を生み出すが、他の専門性との連携はヘタ。
これでは、変化に対応できないし、多職種連携やチーム医療を!と勇ましく叫んでも掛け声で終わってしまう。ところが、北米、欧州、日本の先進的な病院に対してコンサルティングや共同研究をやりつつ関与していると、日米欧の変化志向が強く先進的な病院ほど、まったく異なる組織モードを導入するというプロポーザルを喜んで受け入れてくれる。それは、ネットワークセントリック組織( network-centric organization)だ。
次のような組織開発のプログラムを仕込んで、新しい組織行動を埋め込んでゆく。
①中央がコントロールして各ユニットが指示命令で動くのではなく、中央が支援して各ユニットは自律分散的に動く。
②組織の役職や管理階層を簡素化してスリム化し、脱ピラミッド化する。
③イントラネット、インターネット、クラウドをフル活用して、院内情報を効果的にシェア。
④組織ぐるみで、新しいデータ、情報、知識、知恵を創造・シェアする。
⑤リーダーの役割は、指示命令、部下の監督ではなく、コラボレーションの推進と展開。
⑥固定したリーダーを決めるのではなく、だれでもがリーダーとなるシェアード・リーダーシップの展開。
⑦リーダーの役割は、異質なモノコトを結びつけること。
多職種連携やチーム医療は、小手先の変化の演出ではなく、組織構造、知識創造、リーダーシップの変革から始まる。このようにして、タコツボ積み上げ型組織とは異質のネットワーク展開型組織の行動様式を埋め込み、ハイブリッド化してゆく。
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