札幌から知床岬まで全行程人力移動の旅(1)~女満別からウトロへ~

<2012夏:札幌→知床岬全行程人力移動の全体図>

札幌から女満別までが前半の自転車ツーリング(上図黒字ルート、その概要はこちら)、そして女満別から知床峠を経て羅臼、知床岬までが後半の自転車+シーカヤック+徒歩縦走(上図の赤字ルート)の全体マップとなる。

知床岬の詳細図(上の地図の緑色の部分)をさらに拡大した概念図を手書きで作ってみた。

<札幌から知床半島先端までの最後の詰めに向かって>

札幌から約700km走って女満別に着いたところで、いったん仕事、用事などをこなすために千葉へ引き返し、約1カ月間、仕事、執筆、四国への出張、飲み会、親戚の結婚式などをこなして、またまたやって来ました、女満別。

ああ、北海道よ!自転車よ!

北海道で自転車ツーリングをしている時間を、かりに本質的な時間とすれば、あとはしょせん雑事の時間なのか?

そんな極端、エキセントリックな観念に取りつかれても、ことさら積極的に否定もしない自分がいる。そう、cyclist’s mindというaltered state of consciousness(変性意識)に意識は越境しつつあるのだ・・・。

木霊と交流し、山や風の神様からメッセージを稟(う)け、真摯に、それらのメッセージに意味を紡ぎだしてゆく。自らの心臓の鼓動に、息遣いに、気を配りながら、自然から寄せられる豊饒な意味空間はトランセンデンタール。

そうだ、あちら側の豊かな世界に・・・越境、超越してゆくのだ。。

             ***

さて、今回のつづきの旅のために、自転車とキャンプ道具一式を、びほろ後楽園という宿にあづけておいた。夕刻の飛行機で女満別の空港に降り立ち、くだんの安宿に一泊、ここからツーリング自転車によるキャンピング中心だった前半の旅に引き続き、人力移動の第二幕が始まるのだ。

前半、後半を通して、今回の旅の最大の目標は、札幌から知床岬の先端まで、自転車、シーカヤック、徒歩によるすべて人力による移動でこなす!というものだ。

その最後のツメの3日間の行動計画が上に示した手書きの地図だ。最後の3日は、自転車を降りて、シーカヤック、そして徒歩による縦走となる。

まわりの人間にこの構想について話をするとおおむね反応は8:2位の比率で二つにわかれた。

ひとつめは「モノ好きにもほどがある。便利なバスとか鉄道を使って美味しいものでも食べ、もっと楽しんできたらどうか?」ふたつめは、「すごい!ぜひチャレンジを応援したい!」という反応だ。

当然、前者のような反応は失礼にならないように軽くあしらって終わり。後者は、おおむね登山、自転車、アウトドアを趣味とする人間から寄せられる好意的な反応である。

実はfacebookのほうで、後者の反応を示してくれた友人、知人を中心に小さなグループを立てておいて、知床経験者からの貴重な情報を集約したり、ザイルなどの山道具をかしていだだいたり、行動をともにする者を集めたり、ポジティブな反応を得てモチベーションを高めつつ、この計画を進めてきたのである。

facebookなどのSocial network serviceはアウトドア活動を進める上で親和性が高いと思う。(これはこれでひとつのテーマを成すので、いずれどこかで書きたいものだ・・・)

<網走湖の湖畔>

12年目に突入したアルプス・パスハンターベースのキャンピング自転車。玄人筋のサイクリストからは奇異な目で見られなくもないが、ありし日のアルプス店主の萩原さんといろいろ議論してオーダーして創り上げたお気に入りの相棒だ。

朝日に照らされて光り輝くワインレッドの細身のクロモリ・フレームがなんとも言えない。

ツーリング自転車のみが持つ洗練されたdesignのforwardabilityは、美しい風景とよく溶けあう。

 <原生花園>

このあたりの道は、どこまでも果てしなくまっすぐに続く。

2004年に逆方向から自転車で走った道だ。

このあたりからは、斜里岳、海別岳、遠音別岳、羅臼岳、サルシイ岳、そして知床岬の先端が一望のもとだ。札幌からから、この地点までは約700km。よくここまでやってきたもんだ、という感慨もさることながら、この連綿と続く地上の凹凸の風景に接すると、「まだまだ先は長い!」という諦念にも似た感情が湧き上がってくる。

よく見ると、羅臼岳の西側のコル、つまり知床峠あたりには、厚い雲がかかっている。・・・ということは明日予定している知床峠越えは、熱い日光を回避できる。シメシメ。

 <オホーツクへまっすぐ伸びる道>

このたびの前半で訪れた足寄の松山千春の歌詞を思い出す・・・。

北海道でまっすぐな道を走って、松山千春の歌詞を口づさむサイクリストは多いと聞いたが、なるほどと思う。

<オシンコシンの滝>

道のわきに突如、出現する滝。

暑くなった体を冷やすのにはちょうどいい休息ポイントだ。

<国設知床野営場>

女満別から約90kmのことろにある、ウトロの山側にあるキャンプ場でテント泊。

地べたにテントを張り、ねっころがると、ほっとする。

<夕日の見える丘>

キャンプ場のすぐ近くには、その名も、「夕日の見える丘」というビュー・ポイントがある。

あるほど、この日の夕日は、とくだんに綺麗、かつ荘厳なものだった。

夕日のなかには、明日という日が見えるのだ。

つづき>>>

 

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